電気料金値上げ、半数が「利益減少」 帝国データ調べ


 帝国データバンクがこのほど行った電気料金値上げに対する企業の意識調査によると、回答企業のおよそ半数で料金の値上げにより自社の経常利益が減少すると回答した。電気料金の値上げ分を自社の商品・サービス価格に転嫁できないとする企業も6割超と高くなっている。電気料金の高騰が企業経営に大きな影響を与えている実態が明らかになった。

 調査は5月19〜31日、全国の企業2万3373社に行い、このうち1万398社から有効回答を得た。

 電気料金の値上げが自社の売り上げに与える影響について、「減少」とした企業が18.2%で、「影響はない」とした企業が59.7%とおよそ6割を占めた。

 一方、経常利益の見込みを聞くと、「影響はない」とした企業が30.5%にとどまるのに対し、「減少する」とした企業が50.7%と半数以上を占めている。

 経常利益減少の内訳をみると、「5%未満」が35.3%、「5%以上10%未満」が10.0%で、平均で3.4%の利益減少を見込んでいる。帝国データバンクの試算によると、企業全体の経常利益減少額は約2兆円。これは陸運業全体の経常利益(1.7兆円)を上回る規模という。

 電気料金値上げで経常利益が減少するとした企業の割合を10の業界別にみると、製造が55.8%で最も多く、以下、運輸・倉庫53.0%、小売51.1%、農・林・水産50.0%の順。サービスは47.7%だった。

 電気料金値上げへの対策については(複数回答)、「既存設備での節電を実施」が61.7%と最も多く、以下、「設備や照明などを省エネ型に更新」38.6%、「人件費以外のコスト削減」19.0%、「特に何もしない」18.0%—の順。「電力会社との契約の見直し」は5位で6.4%だった。

 「電気料金の値上げ分を自社の商品・サービスの販売価格にどの程度転嫁するか」では、「全く転嫁できない」が40.4%と最も多い。これに「ほとんど転嫁できない」の26.5%を加えると、全体の6割超となる。逆に、「ほぼ全額転嫁できる」とした企業は3.4%にとどまった。

 福島第一原発の事故以来停止している全国48基の原子力発電所を、「経営的な視点で考えて再稼働すべきか否か」では、「安全確認ができたものから順次再稼働すべき」が31.3%と最も多かった。一方、「原発は徐々に廃止すべき」は25.4%と2番目に多かった。

 
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