帝国データバンクはこのほど、政府が臨時国会で成立を目指す中小企業金融円滑化法案(仮称)への企業意識を調査した。それによると、同法案に賛成と回答した企業は25.5%、反対と回答した企業は38.3%で、賛成が反対を12.8ポイント下回った。ただ、小規模企業は賛成が31.4%と3社に1社で、企業規模が小さいほど賛成の比率が高くなっている。同法案が成立した場合、融資の返済猶予の申請を検討するかどうかの問いでは、11.1%が検討すると回答した。
調査は帝国データバンクが今年10月の景気動向調査の特別企画として行った。調査対象は全国の企業2万1491社で、このうち1万742社が回答した。
同法案に賛成した企業を規模別にみると、大企業が20.8%、中小企業が27.0%、小規模企業が31.4%。企業規模が小さいほど、同法案の成立を肯定的にとらえている。
賛成した企業からは「中小企業が元気にならなければ景気はよくならない」「現在優良もしくは将来有望な中小企業には返済猶予を認めるべき」「これはリスケジューリングの制度的保証であり、銀行にとっても損ではない」などの意見が聞かれた。
半面、反対した企業からは「市場競争の中で返済猶予される企業と、一生懸命に返済している企業が存在するのは不公平」「私企業である債務者と銀行との間の契約に、公権力が過度に介入すべきでない」「前向きな資金を必要とする企業への融資資金が硬直化する」「返済猶予を受けることによるその後の弊害の方が大きい」などが指摘されている。
同法案が成立した場合、返済猶予の申請を検討するかどうか尋ねたところ、65.3%と3社に2社が検討しないと回答。検討するとした企業は11.1%にとどまった。
検討するとした企業を規模別でみると、大企業が5.4%なのに対し、中小企業が13.0%、小規模企業が17.0%と、企業規模が小さくなるほど割合が増えている。
検討する理由として「借り換えが非常に難しい状況にある」「将来の不測の事態に備え、短期資金繰りを改善する必要がある」「たとえ黒字になっても、借り入れの返済スピードが速く、現金不足に陥りやすい」「返済猶予によって起きる貸し渋りへの対策のために、返済猶予を申請する」などが挙げられた。
このほか申請するか否か分からないと回答した企業が23.6%あった。