那須塩原市、「日本遺産」テーマにモニターツアー実施


山形有朋記念館

旅行会社社員約20人が参加

栃木県の那須塩原市観光局は、市の観光魅力を知ってもらい、商品造成に生かしてもらおうと、13、14の両日、旅行会社の社員を対象にモニターツアーを実施した。初の試みで、本紙記者も同行取材した。同局はアンケートの回答を分析し、今後の事業に役立てていく方針だ。

栃木県の那須塩原市観光局は、市の観光魅力を知ってもらい、商品造成に生かしてもらおうと、13、14の両日、旅行会社の社員を対象にモニターツアーを実施した。初の試みで、本紙記者も同行取材した。同局はアンケートの回答を分析し、今後の事業に役立てていく方針だ。

今回は、市に点在する日本遺産にスポットを当てた「日本遺産『那須野が原開拓浪漫』を巡る」をテーマに実施。日本旅行や近畿日本ツーリストなど約20人の商品造成担当者らが参加した。

2018年5月に、県東北部に広がる日本最大級の扇状地「那須野が原」が日本遺産として認定され、那須塩原の新たな観光資源となっている。

13日、JR那須塩原駅からバスで出発。まず向かったのは道の駅でもある那須野が原博物館。館内には「日本遺産コーナー」が設けられ、現存する四つの別邸の模型をはじめ、パネルや映像、資料などが展示されている。特別展「昆虫創成記」が開催中で、参加者は童心に帰って熱心に眺めていた。

元勲・松方正義が開墾した千本松牧場は、東京ドーム178個分という広大な土地で乳牛約500頭を飼育している。観光牧場でもあり、多くの観光客が訪れる。

ここではバター作り体験(500円)やジンギスカンの昼食を。バター作り体験の評判は良く、「自分で作ったバターをクラッカーに付けて食べるのは満足感がある。家族やカップルに喜ばれそう」と参加者の1人。

この後、山縣有朋記念館を見学し、天皇の間記念公園では琴の演奏で迎えられ、抹茶のもてなしも。ご当地グルメ・とて焼も堪能した。

この日の宿泊は塩原温泉の光雲荘。昔、またぎたちが山奥で食べていた味を再現した、樽に焼け石を入れる「石焼樽(たる)」が自慢。立ち上る水蒸気は野趣満点で、「見た目も派手で、味付けもいい。宿泊客が喜ぶ料理だ」と太鼓判を押していた。

2日目は日本遺産の旧青木家那須別邸の見学からスタート。明治政府で外相を務めた青木周蔵が残した別荘で、白亜の洋館が青空に映える。

世界かんがい施設遺産である那須疏水旧取水施設も見学。地味な印象が拭えず、「世界施設遺産としてのアピールも十分でない。もっとテコ入れすべき」だとの意見もあった。

参加者が驚いていたのが那須ワイン。れっきとした日本遺産だが、「那須塩原にワインの印象があまりないだけにびっくりした」と参加者の1人。乃木希典が愛飲したと伝わっており、今でも乃木神社に奉納されている。

ツアーを振り返り、「とても勉強になった。日本遺産という一つのテーマで旅をするのはいい試みだと思う。開拓時代の雰囲気を身近に感じることができた」と評価する声がある一方、「那須塩原駅の周辺が寂しい。新幹線の停車駅とは思えない。開発の余地があるのでは」という指摘もあった。

全般的に評価は高く、どう観光資源として磨き上げ、アピールしていくか、局の手腕に期待がかかる。

山形有朋記念館

千本松牧場でバターづくりを体験するツアー参加者

天皇の間記念公園では茶のもてなしを

 

 
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