錯覚を体験、学び、発想力を養う トリックアート美術館
日本発祥の参加・体験型アート「トリックアート」。平面の絵が飛び出したり、角度により違う雰囲気の絵に見えたりする不思議なアートだ。東京・お台場と栃木・那須高原にあるトリックアートの常設館は、これらの作品を見るだけでなく、写真に撮ったり、錯覚を体験したりとさまざまな体験ができる。思い出づくりとともに、芸術性を学び、発想力を養える体験・見学地と、中学や高校の修学旅行で人気を集めている。
那須とりっくあーとぴあ AR作品の数々展示
ARで犬たちが動き出す動画も楽しめる
「那須とりっくあーとぴあ」は、国内最大のトリックアートのテーマパークだ。
「トリックアートの館」「トリックアート迷宮?館」「ミケランジェロ館」の三つの施設で構成。6月には「ミケランジェロ館」がリニューアルオープンし、従来のトリックアートの楽しみ方とはまた違った楽しみ方を提案している。
ミケランジェロ館1階展示室「名画トリックの間」では、西洋絵画の名作をトリックアートの世界観で表現。名画とユーモアが織り成す不思議な空間に、新たな作品が仲間入りした。有名な「ナポレオンの戴冠式」をモチーフにした作品は、戴冠式に参列した観客の中に世界5カ国の首脳が隠れているなど、名画に遊びながら親しめる仕掛けでいっぱいだ。自然と絵画に興味を持てる仕組みで、生徒たちの美術へのきっかけとして期待できる。
また館内のあちこちに、AR(拡張現実)を体験できる作品の数々を展示。専用アプリをスマホにダウンロードして作品にかざすことで作品が動きだし、それを写真のみならず動画として撮影することもできる。絵画が動きだす驚きと感動はぜひ体験してもらいたい。
さらに、建物を飛び出し屋外に作品を展開する試みも。SNSなどで話題を呼んでいる。夏の暑さで溶けたような「自動販売機とけちゃった」のオブジェに続き、ぐにゃりと曲がってしまった「郵便ポスト」、絶妙なねじれ具合を見せる「カーブした電話ボックス」等、現実世界ではありえない現象が形となった、意外性あふれる作品群も新たな魅力となっており、屋外での格好のフォトスポットにもなっている。
また敷地内の公開アトリエではスタッフが作品を制作している風景の見学も可能で、トリックアートがどのように描かれているのかを目の前で見ることができる。
この秋は、ぜひ楽しみながら学び、想像力をかき立てるトリックアート作品と出会ってほしい。
▽栃木県那須郡那須町高久甲5760。TEL0287(62)8388。不定休で、午前9時半から午後5時まで営業。入場料3館共通大人2800円、中学生以下1900円。
この夏の暑さで溶けたポスト?!
東京トリックアート迷宮館 お台場の人気スポット
「東京トリックアート迷宮館」は、江戸をテーマにした和風のトリックアートをはじめ、多くの人気作品を展示する体験型の美術館。東京屈指の観光スポットお台場にあり、一般客や修学旅行客で年中にぎわっている。
館内に入り、まず目にするのは、色彩豊かで親しみやすいモチーフの和風の作品の数々。
例えば「跳び出す鳥獣戯画」は、国宝・鳥獣人物画に描かれたカエルやウサギが立体的に跳び出す様子を表現。鑑賞者は驚いて捕まえようとしたり、一緒に走りだしたりするなど、現実と絵が一体になったユニークな写真が撮れる。
「愉快な忍者とお化けエリア」では、忍者やお化けのトリックアートが来場者を出迎える。忍者やお化けを探しながら先に進もう。
趣が変わる「トリックアート名作ギャラリー」。過去の名作から最新作まで、バラエティ豊かな作品を展示している名画やトリックいっぱいの作品を体験しよう。
お台場は高校生の自由行動で人気の場所に選ばれており、その中でも芸術性と、楽しさを感じられる施設として、トリックアート美術館は修学旅行の良き思い出の1ページとなるだろう。
▽東京都港区台場1の6の1、デックス東京ビーチシーサイドモール4階。TEL03(3599)5191。不定休で、午前11時から午後9時まで営業。入場料大人千円、中学生以下700円。
「お台場の想い出」を写真に残そう