近畿日本ツーリストコーポレートビジネス 代表取締役社長 髙川雄二氏に聞く

  • 2022年6月1日

髙川社長

多くの選択肢あるMICE提案

 ――昨年4月1日には、KNT―CTグローバルトラベルを統合し、10月1日に髙川新社長を迎えた。2021年度を振り返って。

 「KNT―CTグローバルトラベルの統合で、国内外のMICE需要にワンストップで対応できる体制に移行した。上期は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会があったが、旅行、お客さまの動きは止まっていた。その中で、東京2020オリンピック・パラリンピック関連や、ワクチン接種運営などBPO事業を受託し、数字を確保した。下期は、100人以上が動くリアルの案件が動き始めるほか、リモート、ハイブリッドを生かした事業を積み重ね、11月には先を見通せる状態になった。一時は感染状況が悪化し、予断を許さない時期もあったが、3回目のブースター接種、2、3月には北京オリンピック・パラリンピック冬季大会関連の取り扱いなども加わり、数字をまとめることができた。社員一人一人が健闘し、どこかに隙間ビジネスがないかと死に物狂いで探した結果だ」

 ――現在の近畿日本ツーリストコーポレートビジネス(CB)の柱は。

 「五つある。一つは、観光庁をはじめとした中央省庁需要への取り組み。二つ目は、以前から取り組んでいる大規模企業のミーティング、インセンティブなどMICE。三つ目は、オリンピック・パラリンピック、マラソンを含めたスポーツ事業で、4月にはエクストリームスポーツの世界大会『X Games』の関連業務を受託した。今後も、アーバンスポーツやeスポーツ、障がい者スポーツなど、多岐にわたる事業を扱っていく。四つ目がインバウンド。今は止まっているが、プロモーション動画を制作するなど、再訪に向けた準備を行っている。最後は、非旅行業ビジネスの立ち上げ。3、4年後には、旅行業と非旅行業の比率を1対1にしたい」

 ――新たなMICEの提案をうたう、CBによるMICEとは。

 「今までは、大人数が集まり、語らい、飲食するMICEが多かった。コロナ禍でオンラインを活用したミーティングも増え、今では集まらなくても開催できる新しいMICEが生まれた。お客さまに多くの選択肢を提供することが、私が考えるMICEであり、準備は着々と進んでいる」

 ――KNT―CTパートナーズ会(KCP)が発足し、約3年がたった。

 「本来であれば、社員が研修で各地域に訪れ、語らい、次の未来に向けての話をしていたはずだ。コロナ禍で寸断されてしまったが、今こそ再構築する契機だ。当初に考えていたことを、若く新しい人も交えながら一緒に考えていきたい。それが、新しい時代に向けての原動力となる」

 ――中期経営計画は2年目を迎えた。MICE需要の深耕などの方向性を示していたが進捗(しんちょく)は。

 「公金を活用した事業や、大型化、FIT化する二つのMICEをお客さまに選択肢として提案することは順調に進んでいる。現在は、新たな取り組みとして、メディアやデータ会社、製薬会社など約20社の異業種と連携し、新しいMICEを作るテストをしている。最新の提案が満足感、安全安心などの要素を加え、理想のMICEにつながるはずだ。中期経営計画の間に実現していく」

 ――22年度は、どのような事業展開を。

 「まずは、足固めとして動きが止まっていたお客さまに対し、MICEの実施を促すコミュニケーションを定期的かつ重厚に行っていく。すでに決定しているものはより鮮明化し、大阪・関西万博の調査事業など未来に向けた取り組みも並行して取り組んでいく」

 ――22年度のスローガンは。

 「『責任の2022年』。われわれが会社、株主、社会に対してどういった貢献をし、社会的責任を果たせるか。また、社員に対しても、生活、やりがいなど、どう責任を持つか。今年は数字も含めて責任を果たす年として位置付けている」

 ――22年度の数字の着地点について。

 「19年度の約8割を想定している。上期はオミクロン株の影響で、19年度の5割程度を予測している。一方、下期以降は問い合わせが多く、19年度の1・2倍を超える見込みだ。下期の大きな山を見据え、上期では下期に対応できるオペレーション体制の整備をしている」

 ――大阪・関西万博に向けた取り組みは。

 「すでに問い合わせを受けている。大規模企業は、次の目線はすでに万博に向いている。企業内でインセンティブなどMICEの分野に対応する部署も立ち上がっており、SDGsをキーワードにコミュニケーションを取るなど、対応、準備を進めている」

 ――SDGsの中で注目しているワードは。

 「環境、貧困、住みよい街づくり、ジェンダー、健康・福祉など企業によりテーマは異なるが、われわれは各企業のキーワード、テーマを組み合わせながら、最終的に17番のパートナーシップをわれわれと結びましょうと話している」

 ――髙川社長が考えるCB社の魅力とは。

 「業態、業種などにとらわれず、お客さま自身が面白くなっている。今後は、われわれも面白くなければ取り残されてしまう。お客さま、われわれが面白ければ、間違いなく面白いことができる。これを実現できることがCBの強みである」

 ――チャレンジしたいことは。

 「CBが取り組む事業を分割し、枝分かれしながらビジネス、CB発の会社を作っていきたい。SDGsをはじめとしたテーマに沿えば、多くのビジネスが生まれていくはずだ」

 ――組織の将来像は。

 「利益はもっと出せる会社になれると信じている。実現するためには、経験ある人材を生かせる環境が必要だ。今はリモートで解決ができることも多く、例えば産後に自宅で育児をしながら働ける環境を用意することも一つだ。魅力ある会社となれば、人が集まり、新規ビジネスにチャレンジすることも容易になる」

 ――今後におけるKCPとの連携は。

 「コロナ禍でお客さまもわれわれも動いていなかった。宿泊販売を拡大するには、宿のシステム、宿自体を知ることが大切であり、人材交流はどんどんやるべきだと考えている。短期間でもコネクションを強くすることは、社員はKCPを意識するようになり、好きになる。また、営業パーソンとしても成長させてもらえることにつながる」

 ――最後に、KCP会員に一言を。

 「私は関東甲信越や東海、北陸といったエリアで勉強させていただいた。それらを最大限生かしてお役に立ちたいと考えている。インバウンドが復活すれば、今まで以上にわれわれの出番も増える。ぜひCBに期待いただきたい」

 

髙川社長

【聞き手・長木利通】

 
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