観光立国推進協議会(委員長、山西健一郎・日本観光振興協会会長)は18日、東京プリンスホテルで6回目となる会合を開き、2019年度事業計画案などを審議、承認した=写真。専門部会や検討会議、異業種交流セミナーを開催し、20年に向けた受け入れ環境整備や地域づくりを支援する。
代理を含め90を超える委員が出席。冒頭あいさつした山西委員長は、協議会が発足した13年当時、1036万人だった訪日客が昨年3119万人となったことを評価、「20年の4千万人が視野に入ってきた」との認識を示した。自然災害の多発にも関わらず、旅行消費額が4兆5千億円、海外旅行者数は過去最高の1895万人となったことを挙げ、「オールジャパン体制の成果が出た」と述べた。来賓として、田端浩観光庁長官があいさつした。
協議会はDMO専門部会と観光教育専門部会を設けているが、DMOについては、19年度は企業を呼び込むDMOの地域マネジメントがどのようなものか、事例や有識者の助言を参考に検討する。
観光教育専門部会では小学4~6年生、中学生を対象に「観光教育副教材」を作成、札幌市や神奈川県箱根町など観光地の小中学校で配布している。3月には副教材を用いた出前授業を台東区立浅草中学で行う予定。19年度は教材の活用方法や対象、授業内容などを検討し、実施する方針。
また、2次交通専門部会(検討会議から昇格)を発足するとともに、食文化ツーリズムの普及検討や心のバリアフリーなどユニバーサル・ツーリズム、働き方改革の一環としての休暇制度改革について、必要に応じ検討会議の場を設定する方針だ。
このほか、観光立国を実現するための国民運動の展開、「お~いお茶新俳句大賞」(伊藤園主催)を通じた国民の理解増進にも努める。
会議では出席者が立国実現に向けた取り組みを紹介。
九州観光推進機構の石原進会長は、ラグビーワールドカップ開催に合わせ、九州の祭りを集めたイベントの開催や、中国とのつながりを深めるため、福岡空港への北京直行便開設に意欲を示した。日本旅行業協会の田川博己会長は、DMOについて「人材、財源、システムが鍵を握っている。特に財源は自治体頼りで心もとない。推進協議会に地域の金融機関を加入させ、観光の中に入れ込んでいくべきではないか」などと提案した。