観光関係団体懇談会(26団体で構成、幹事・日本観光協会)主催の新年賀詞交換会が11日、東京のグランドプリンスホテル赤坂で開かれた。昨年末、「観光庁」創設が決まったことを受け、出席者からは「(今年は)観光立国実現への大きな一歩となる」「観光の力で暗い世相を明るくできれば」との声が相次いだ。会場には冬柴鐵三国土交通相、二階俊博自民党総務会長らも駆け付け、観光業界の活躍を期待した。
賀詞交換会には関係者ら約200人が出席。主催者を代表してあいさつした中村徹日観協会長は観光庁創設を歓迎する一方、「地域における観光振興がビジネスとして成立しておらず、地域収入に結びついていない。また、観光事業者がその役割を果たしているとは言い難い。今年はこれらがマッチングするような年にしてほしい。観光業界の未来は明るい。皆さんの努力で実りある発展の年にしていただきたい」と呼びかけた。
乾杯の音頭は日本ツーリズム産業団体連合会の舩山龍二会長がとった。
来賓の二階総務会長=写真=は日中国交正常化35周年を記念して行われた日中交流イベントには両国合わせて3万5千人が参加したことや、観光庁創設について、福田康夫首相が「観光の大きな柱が定まったと喜んでいた」と報告。
また、衆院選をにらみ「観光業界は選挙に弱いというか、選挙応援をやらない(体質がある)。この姿勢を改めなければ業界はこれ以上伸びないし、(政治の)協力も得られない」と厳しい表情で述べ、自公政権維持に向けた選挙への協力を求めた。
やや遅れて駆け付けた冬柴国交相は、「今年10月の観光庁設置を目指し通常国会に法案を提出する。これにより、政府全体として観光(振興)に取り組む推進体制ができる」と述べた。さらに「観光は地域経済活性化の切り札となる。国交省では2泊3日以上の滞在型観光促進のため、観光ゾーンの形成に向け、地域の取り組みを支援する新たな制度を設ける考えだ。観光は21世紀の国づくりの柱だ」と強調し、関係者の一層の奮起を促した。
賀詞交換会には平井たくや国土交通副大臣、愛知和男自民党観光特別委員長らのほか、国交省幹部や旅館・ホテル、旅行会社のトップらが顔をそろえた。
観光庁創設という業界の悲願が今年いよいよ実現するが、出席者からは「創設を機に、観光の重要性をもっと国民にPRしてほしい。業界を取り巻く環境は決して明るくはないのだから」と指摘する声もあった。
