観光庁髙橋長官 23年の回顧、24年の課題


観光庁の髙橋長官(12月20日)

需要回復も地域差

地方誘客、人材不足対策に注力

 ――2023年の観光を振り返ると。

 23年は、前年22年10月の水際対策の緩和、全国旅行支援の開始という二つの大きな動きを受け、いわば新型コロナ禍からの復活、さらに言えば、持続可能な観光の実現に向けて大きく歩みを進めた1年となった。

 政府の観光政策では、3月に観光立国推進基本計画を策定し、持続可能な観光、消費額拡大、地方誘客促進の三つをキーワードに、コロナ後の観光立国実現に向けた取り組みの大きな方向性を示した。5月には、ビジネス分野、教育・研究分野、文化芸術・スポーツ・自然分野、この3分野を柱として「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」を策定して、インバウンド需要をより大きく効果的に根付かせる方策を取りまとめた。

 こういう方針に基づいて観光立国の復活に向けた取り組みを観光庁のみならず、産業界、観光地域など関係者の皆さまと共に全力で進めていった結果、国内外の観光需要は着実に回復してきていると受け止めている。ただ、観光需要の回復には地域差があると認識している。

 観光需要について数字で申し上げると、11月の訪日外国人旅行者数はコロナ前の19年と比べた回復率は100%で、2カ月連続でコロナ前の水準を回復した。訪日外国人旅行消費額は1~9月期の累計で約3.6兆円、10~12月期の数字はまだ出ていないが、1人当たりの消費単価、旅行者数の傾向が維持できれば、年5兆円の政府目標の達成も期待できる水準になっている。日本人の国内旅行消費額についても、年20兆円の政府目標達成が視野に入るペースとなっている。マクロでは旅行者数も消費額も着実に回復してきている。

 このような中、10月には「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」を策定した。過度な混雑やマナー違反への対応、地方部への誘客促進、地域住民と協働した観光振興に取り組んでいる。

 ――2024年に注力することは。

 日本の地方部はインバウンドの誘客に限りない可能性を持っている。まだまだ地方部の本当の魅力を生かした誘客というのはできていないと思うので、誘客を強力に進めていきたい。地域の観光資源を活用した観光コンテンツの磨き上げや、特別な体験の提供などによってインバウンド観光消費の拡大・質の向上、地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりなどで、誘客に結びつけていきたい。地方部を中心としたインバウンド誘客を戦略的に進めることが大きな課題だ。

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