観光庁予算、2.7倍の740億円要求 国際観光旅客税480億円充当


新財源の使途 省庁で検討

 観光庁の2019年度予算の概算要求額が8月29日に発表された。東日本大震災復興特別会計の観光復興分を除く要求額は、18年度当初予算比168%増の739億6800万円となった。大幅な増額は、19年1月7日から出国者を対象に徴収する国際観光旅客税を充当した予算480億円を一括計上したため。新たな財源の国際観光旅客税を充当した予算は、観光庁をはじめ関係省庁の観光施策に割り当てられるが、具体的な内容は未定で、予算編成の過程で年末までに決定される。

 観光庁の要求額の内訳は、国際観光旅客税を充当する予算480億円と、一般財源を充てる予算259億6800万円。この他に東日本大震災復興特別会計による東北観光復興の観光庁予算として、45億6500万円が計上されている。 

 国際観光旅客税は、訪日外国人と日本人の出国ごとに千円を徴収し、国際観光振興の財源とする。19年1月7日から徴収が始まるため、18年度予算には、3カ月分(19年1~3月)の徴収額として60億円が計上済み。60億円の使途は、観光庁分が32億5千万円、法務省の出入国管理態勢の整備など他省庁分が27億5千万円となっている。

 19年度は、国際観光旅客税が初めて年度を通じて徴収、財源化される。480億円の算定根拠は、17年度の出国者数が基礎になっている。予算編成の上では観光庁予算に一括計上されているが、他省庁の予算の観光施策にも移し替えて執行される。

 国際観光旅客税の具体的な使途は、先進性や重要性が高い施策、税負担者の理解が得られる施策など、政府が定めた基本方針に基づき、閣僚で構成する「観光戦略実行推進会議」や省庁の局長級を中心とする「観光戦略実行推進会議ワーキンググループ」で有識者の意見を聞いて決める。

 観光庁の要求額のうち一般財源を充当する予算は、経常事務費などを差し引いた施策・事業分が、18年度当初予算比22%増の252億1800円。主な事業は、訪日プロモーションに126億7500万円、宿泊施設などを支援するインバウンドの受け入れ環境整備に77億6千万円、DMOなどに補助金を交付する広域周遊観光促進事業に25億円など。

 東北の観光復興分の観光庁予算は、18年度当初予算と同額の45億6500万円を要求した。内訳は、東北観光復興対策交付金に32億6500万円、日本政府観光局(JNTO)による東北観光復興プロモーションに10億円、福島県における観光関連復興支援事業に3億円。

 
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