モデル地域10ヵ所選定へ
観光庁は5月31日、訪日外国人の旅行消費を拡大し、地域を活性化させる施策の方向性を「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりに向けたアクションプラン」としてまとめた。富裕層などの高付加価値旅行に対応できる宿泊施設や観光コンテンツを地方に面的に整備する必要性から、地域の体制構築、地域のマスタープラン策定を支援する。地域経営、商品造成を担う専門人材の確保も後押しする。今年度内に全国10カ所程度のモデル観光地を選び、施策を集中的に実施する。
■現状と課題
アクションプランの策定に当たっては、有識者を委員とする「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり検討委員会」(座長・梅澤高明A.T.カーニー日本法人会長/CIC Japan会長)で、現状や課題、今後の取り組みの方向性について議論した。
コロナ禍前の2019年の訪日外国人旅行者数は3188万人、その旅行消費額は4・8兆円だが、1人当たりの着地での消費額が100万円以上の高付加価値旅行層は人数全体の約1%。ただ、その消費は全体額の約11.5%を占める。大都市での買い物消費などが多く、地方での消費が少ないことが課題だ。
高付加価値旅行の地方への誘致が進まない要因には、(1)体験価値の高い訴求力のあるコンテンツの発掘力・商品造成力の不足(2)インバウンドに対応した上質な宿泊施設の不足(3)高付加価値旅行層のニーズを満たす人材(送客、ガイド、ホスピタリティなどを担う人材)の不足―が挙げられた。
■施策の方向性
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