観光庁、「観光業界におけるクラウドファンディング活用マニュアル」作成


 観光庁は、観光地域づくり法人(DMO)、自治体、観光事業者などに向けて「観光業界におけるクラウドファンディング活用マニュアル」を作成した。クラウドファンディングの仕組みや概要、成功のポイントを解説。新たな観光コンテンツを造成し、本格的に販売を始める前の資金調達やテストマーケティングなどに役立てられる。活用マニュアルの概要を紹介する。

   ◆   ◆

 クラウドファンディングは、事業者がインターネット上で「やりたいこと」「実現したいこと」を表明し、賛同してくれた人から資金を調達することで、支援してくれた人にその対価としてリターンを提供する仕組み。観光分野では、新規事業の立ち上げのための資金調達、販売を通じた市場の反応確認などに活用が期待される。

 主に三つの類型がある。「購入型」は、商品やサービスなどをリターンとして販売し、集まった資金を受け取ることができ、個人、企業、任意団体などさまざまな事業者が活用している。「寄付型」は、集まった支援を寄付金として受け取る調達方法。「金融型」は、融資や投資、株の仕組みを利用したクラウドファンディング。

 観光庁の活用マニュアルでは、利用者が最も多く導入しやすい「購入型」を中心に解説している。「購入型」の特徴は、「金銭的価値のあるリターンを提供する必要がある」「オンライン販売のような感覚で購入している支援者が多い」など。

 募集形式は主に2種類。「オール・オア・ナッシング方式」は、募集期間中に支援総額が目標金額を超えた場合のみプロジェクト成立となり、支援金額を受け取ることができる。目標を達成できなかった場合は支援者に全額返金され、リターンを提供する必要はない。一方の「オールイン方式」は、目標金額の達成にかかわらず、募集期間中に集まった支援金額を獲得できる。そのため支援者に必ずリターンを提供する必要がある。

 クラウドファンディング活用のメリットには次の3点を挙げている。

 メリット(1)新たな顧客層へ接触できる=旅行販売サイトにおいては価格訴求が最重視されがちだが、クラウドファンディングでは、事業者の思いや特色などをページで伝えることができる。価格よりもコンテンツの中身に共感してくれる新たな顧客層と接点を持つことが可能となる。

 メリット(2)テストマーケティングができる=クラウドファンディングを一般発売よりも前に実施することで、支援者の反応や要望を確認し、改善項目の洗い出しや、コンテンツの磨き上げを行った状態で一般販売に臨むことができる。

 メリット(3)本格導入前の資金調達ができる=クラウドファンディングは、一般発売前にある程度、資金のめどを立てることができる。補助金、助成金などを利用して一部費用をまかなったり、クラウドファンディングの反響をもとに銀行融資を検討するなど、より大規模な資金調達につなげることも可能となる。

 半面、デメリットも2点挙げている。

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