地域活性化に必要な人材育成の方法や課題などを探る「観光地域づくり人材育成シンポジウム」がこのほど、東京都内で開かれた。主催は国土交通省。実際に人材育成に努める自治体や民間団体などのキーパーソンが講師となり、地域資源を見直す活動などの実例を紹介した。会場には自治体や教育関係者、観光関連団体など276人が出席した。
観光地域づくりのための人材育成をテーマにパネルディスカッションを開催。山形県の後藤靖子副知事、皆生菊乃家(鳥取県米子市)の若女将・柴野裕美子さん、阿寒観光協会まちづくり推進機構の藏根敏文専務理事、観光の活性化を手がけるイデアパートナーズの井手修身社長が登壇した。
山形県の後藤副知事は「人材育成には、まず住民自らが地元の観光資源に気づく必要がある。そのためには他地域の住民と交流する場がいる」と強調し、県内4地区の持ち回りで講習会を開き、地元を巡るツアーなどを行う「山形観光まちづくり塾」の活動を説明した。
後藤副知事は「塾の開講を通じて他地域の住民同士がつながり、地元に足りないものを客観視できるようになった。塾生自らホームページを設立するなどの新しい取り組みも始まっている」と成果を語った。
旅館の人材育成の取り組みは、皆生菊乃家の柴野さんが紹介。皆生温泉旅館組合では、おもてなしを充実させるため旅館主や従業員らを対象にした「皆生温泉教授制度」を設立した。「1年4回の講座で泉質や人体への効果などを学んだ後、ガイドとして活躍してもらっている」と報告した。
柴野さんは「今、温泉地の活性化のために何が必要か、そうした問題意識を共有できる従業員を育成することが大切」と話し、旅館自らが人材育成に取り組む重要性を訴えた。
シンポジウムでは、児童・生徒の観光地域づくりへの参加をテーマにしたパネルディスカッションも開かれ、各地域の実践例などが紹介された。
人材育成をテーマにしたパネルディスカッション