菅義偉首相は10月26日の臨時国会で所信表明演説を行った。新型コロナウイルス対策と経済の両立、地方の活性化などに向け、観光需要を回復させる政策プランを策定することに意欲を示した。
観光に関わる主な演説部分は次の通り。
【新型コロナウイルス対策と経済の両立】
バブル崩壊後、最高の経済状態を実現したところで新型コロナウイルスが発生した。依然厳しい経済状況の中で、まずは雇用を守り、事業が継続できるよう、最大で200万円の持続化給付金や4千万円の無利子・無担保融資などの対策を続けていく。さらにGo Toキャンペーンにより旅行、飲食、演劇やコンサート、商店街でのイベントを応援する。これまで延べ2500万人以上の方々が宿泊し、感染が判明したのは数十人。事業者が感染対策をしっかり講じた上で、利用者の方々にはいわゆる「3密」などに注意していただき、適切に運用していく。
【デジタル社会の実現、サプライチェーン】
テレワークやワーケーションなど新しい働き方も後押ししていく。
【活力ある地方を創る】
いわゆる東京圏、1都3県の消費額は全国の3割に過ぎない。観光や農業改革などにより地方への人の流れをつくり、地方の所得を増やし、地方を活性化し、それによって日本経済を浮上させる。インバウンドは政権交代時の約4倍の年間3200万人に、農産品の輸出額は政権交代時から倍増して年間9千億円となった。(中略)新しい日常においても旅は皆さんの日常の一部だ。日本に眠る価値を再発見し、観光地の受け入れ環境整備を一挙に進め、当面の観光需要を回復していくための政策プランを年内に策定していく。
【新たな人の流れをつくる】
わが国にとって海外との人の交流を行い、海外の成長を取り込んでいく必要性は、ポストコロナにおいても変わりはない。10月からビジネス関係者や留学生について、全世界からの入国を緩和した。入国時の検査能力を11月中に1日2万人に引き上げ、防疫措置をしっかりと講じながら、グローバルな経済活動を再開していく。