草津温泉で国際観光文化フォーラム、おもてなしなどテーマに


フォーラムでのパネルディスカッション

フォーラムでのパネルディスカッション

 国際観光文化交流協会(JITSA、藤野公孝会長)と草津温泉観光協会(中澤敬会長)などの地元団体は8月25日、「2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、日本のおもてなしと訪日外国人旅行(インバウンド)を考える」をテーマに、「国際観光文化フォーラムin草津」を草津温泉ホテル櫻井で開いた。約200人の観光関係者が出席した。

 藤野会長は「小泉純一郎首相が国会の姿勢方針演説で『観光立国』を宣言したのが2003年の1月。その後、インバウンドが急拡大し、観光立国はもはや打ち上げ花火ではなく、現実となりつつある」とあいさつ。中澤会長は「『第36回草津夏季国際音楽アカデミー&フェスティバル』の開催期間中にこのようなフォーラムを開催することができて、大変意義深い」と話した。

 群馬県の戸塚俊輔観光局長は大澤正明知事の祝辞を代読。その中で「草津温泉は旅のプロが選ぶ『にっぽんの温泉100選』で12年連続1位に選ばれるなど全国随一の温泉地であり、本県の観光振興に大きく寄与している」と述べた。

 基調講演「TESSEI(テッセイ)のおもてなし」では、新幹線の車内・車両清掃を担当しているJR東日本テクノハートTESSEIの奥田雅弘常務が登壇。00年から目標として取り組んだ新幹線車内の「7分間清掃」が12年に米CNNテレビで、「7ミニッツ・ミラクル」として紹介されたエピソードを披露した。TESSEIのおもてなしについては、(1)決められた時間内で清掃をしっかりと仕上げる(2)お客さまに快適な旅のお手伝いをする(3)心を込めて隅々まで車両の清掃整備を行う(4)礼に始まり礼に終わる仕事を行う—などと話した。

 「日本人が世界に誇れる33のこと」などの著書で知られるルース・ジャーマン・白石さんは「やっぱりすごいよ!日本のおもてなし」と題して講演。「訪日外国人客は、日本文化の体験をおもしろいと思い、楽しんでいる。旅館の和室も、決められた時間に食べる料理にも、全て『体験』としての価値がある」と述べ、「和室を『体験』として売ることでビジネスチャンスが広がる」と強調した。また「外国人客は国籍も文化もさまざまなので、全てに対応することは不可能。日本文化のアイデンティティを大切にすることが、逆に強みとなるのではないか」と提案した。

 ジャーマン氏と同様に日本在住歴が20年以上の米国人男性3人も登壇してのパネルディスカッションでは、「温泉のよさが外国人によく伝わっていない。ほとんどの外国人は、温泉とは大きな風呂のことだと思っている」といった意見出るなど、インバウンド客に対する情報発信の重要性が浮き彫りとなった。

 同フォーラムは、ホテル京阪、藤田観光東武ホテルマネジメント、サーブホテルズ、ジップスの協力で開いた。来年度の開催地は、下呂温泉を予定している。

フォーラムでのパネルディスカッション
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