神奈川県の箱根温泉旅館協同組合(理事長、榎本孝弘・三河屋旅館社長、約100会員)は10日、横浜市の東京電力神奈川支社を訪れ、箱根温泉を福島第1原発事故に伴う観光業の風評被害の賠償エリアにするよう要望した。県内での要望は初めて。
榎本理事長ほか杉山幹雄副理事長(和心亭豊月)らに加え、山口昇士町長も同席。東電側は神奈川補償センター所長らが応対した。
組合によると、原発事故が発生した昨年3月の宿泊客は前年同月比48.7%減の16万6千人で、4月も同36.1%減などと大幅に減少。「観光客が必ず訪れるといわれている大涌谷や芦ノ湖の遊覧船など、町内から観光客の人影や自動車が消えてしまった」という。
昨年1年間の宿泊客は前年比5.6%減の342万4千人となり、旅館・ホテルの直接被害額は推計で約40億円、これに寮や保養所、民宿などを加えた被害総額は計約52億円になるという。
組合は「首都圏などの観光客が放射能汚染被害を心配して外出を控えたため被害を受けた」と主張。その上で「箱根を原発の影響があったエリアとして認定してほしい」と訴えた。東電側は「内容を精査して対応を検討したい」としている。
東電神奈川支社の関係者に要望書を手渡す榎本理事長(右)