省エネ「見える化」システムを提案 ショウエイ


新田氏

 自社による商品開発から製造、販売、メンテナンスまでを一貫して行う温浴用循環型ろ過装置専門メーカーのショウエイ。ろ過装置は、旅館・ホテル、スパ施設、フィットネスクラブなどの浴槽やプールに2万台以上も導入されている。同社の新田勇人・開発部副部長に主力製品の特徴や今後の事業戦略などを聞いた。

◇   ◇

 ――主力の製品は。

 新田 ろ過装置の「SPFシリーズ」はFRP製で優れた耐蝕性、対候性、保温性があり、浴槽はもちろん、温泉や海水などの腐食性の高い水質に対しても利用できる。ろ過装置以外にも、自動塩素注入装置や貯湯タンク、FRP製浴槽のほか、宿泊施設の集客に一役買えるマイクロバブル装置や、人工炭酸泉装置などの付帯設備を幅広く取りそろえている。当社は機器を販売するだけのメーカーではなく、温浴設備機器に対してトータルにサポートする体制を整えている。さまざまな課題に直面している温浴施設に対して、最適な提案を行っている。

 ――具体的には。

 新田 一例として、安全管理を行う専任の技術者が減少している中、状態監視サービスを提供している。その内容は運転状態、水質維持、警報などの管理や故障把握であり、さらには、インターネットを利用した遠方監視で常時、施設を守る。社内には、水道法登録機関である環境衛生水質分析センターを設けており、メーカーとして安全管理と連動した水質分析業務を行っている。

 ――施設の生産性向上にも熱心に取り組んでいる。

 新田 ここ数年は、生産性向上をテーマにした省エネの「見える化」システムを提案しており、水光熱費の削減では、納入施設で大きな成果を上げている。代表的なシステムはろ過ポンプの電力削減であり、浴槽の水質変化で運転制御を行う「濃度感知運転制御エコシステム」や、浴室に設置した人感センサーで運転制御を行う「フィードフォワード運転制御エコシステム」などがある。

 ――今、最も強くアピールしている製品は。

 新田 温泉の温度を常時適温に制御するシステム「湯守のお手伝い」と、浴槽水を加熱する昇温ユニット「子熱」だ。

 温泉旅館・ホテルでは温泉、源泉を管理する「湯守」が高齢となり退職するケースが増え、後任が不在で困っているという悩みを聞く。湯守のお手伝いは、難しいとされる高温の温泉をほぼ適温の42度程度にまで下げることができる。内風呂、露天風呂に浴槽内温度センサーを取り付けて、脱衣室などに制御サーバーを設置し温泉温度を適温に制御する。それを弊社のクラウドサーバー監視システムが受信し、インターネット経由で、パソコン、スマートフォン、タブレット端末から確認できる。温泉の温度が高くなったなどの異常を感知した場合は、警報を出力するので安心して使える。

 一方の子熱は昨年から販売を開始。宿泊施設の客室に設置されている内湯、露天風呂などの小型浴槽用に開発した。耐蝕樹脂製の小型熱交換器の採用で温泉にも対応。湯量500~1500リットルの浴槽に使用できる。製品特徴は、構成部品が少なく軽量でコンパクト設計ながら確かな保温性能を実現。オプションで集毛網付き吸込口を採用すれば、ヘアキャッチャーの設置は不要だ。また、リモコンによる遠隔操作が可能で、フロントなどから遠隔による監視もできる。床置き、壁掛けの両方に対応している。

 ――そのほか旅館・ホテルにお薦めの商品は。

 新田 人工炭酸泉とマイクロバブル泉、そして、人工炭酸泉とマイクロバブル泉の混合泉であるミルキーソーダ泉を作り出せる「人工温泉製造装置」も提案している。人工炭酸泉やマイクロバブル泉は、人工温泉としてアトラクション性が強いため他の施設との差別化が図れる。炭酸泉とマイクロバブル泉を同時に導入するのは設置スペースの問題などから難しいが、人工温泉製造装置は、これ1台で三つの人工泉を発生できるので小さなスペースでも導入できる。

 ――最後に、旅館・ホテルへのメッセージを。

 新田 省エネシステムや見える化を採用した施設では、削減できた利益をさらなる高い顧客サービスへ有効活用していただいている。これからも多くの施設に対して、運営状況を踏まえた省エネ見える化システムを、最小の投資で最大の省エネ効果が得られるよう提案を行うことが当社の責務だ。本年も施設の集客や省エネ、生産性向上に役立つ製品を提供したい。

 

ショウエイ
【本社】神奈川県川崎市幸区新川崎2の6
【創立】1974年
【事業内容】プール・浴槽用FRP製砂ろ過装置、水処理用ろ過装置、浴槽、省エネシステム、スパリラクゼーション機器製造販売、管工事業、電気工事業、維持修繕工事業
【資本金】7000万円

小型浴槽昇温ユニット「子熱」

ショウエイはろ過装置をフルサポート

 


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