日本観光振興協会は17日、「産業観光まちづくり大賞」について、金賞は桑名市産業観光まちづくり協議会・エイベックス(三重県桑名市)が受賞したと発表した。「産業教育観光」への取り組みなどが評価された。表彰式は来年1月25日、愛知県半田市で開催される全国産業観光フォーラムの式典で行われる。
同大賞は、産業観光による観光まちづくりを実践し、他の地域の模範となる優れた事例を表彰する制度で、今回で11回目となる。全国から9件の応募があり、審査委員会(委員長・福川伸次東洋大理事長)で審査し、決めた。
金賞受賞のエイベックスはトヨタ系の自動車部品メーカーだが、自社のノウハウもサービスになるとして「海外からの工場見学事業」を行っている。現在、世界50カ国以上から年間3千人ほどの企業研修団を受け入れているという。
近年、この取り組みを地域創生の一つとして位置付け、市と企業との連携で活動を拡大させていくこととなり、昨年、産業観光を市の新たな観光の軸とするため「桑名市産業観光まちづくり協議会」が発足した。
今後は「産業教育観光」として、より幅広い人たちに国際交流や企業を知る機会の提供を通じて地域の活性化を支援していくことにしている。
審査委員からは、「産業教育観光という、これまでにない新たな視点・手法が目からうろこ。産業資源を理念や思想、こだわりや風土にまで広げて捉える視点も素晴らしい」「自社製品だけでなく、ノウハウなどのソフト面を資源にする着眼点がいい」「単なる企業視察でなく、企業が持つノウハウ、経営陣との意見交換を研修対象とする点がユニーク」という声が挙がった。
経済産業大臣賞は大阪府八尾市の大阪糖菓会社(コンペイトウ王国)に。同社は「見て・聞いて・作れる体験型空間」というキャッチフレーズを掲げ、03年にコンペイトウミュージアム(観光サービス業)を開設。規模の小さな堺プチミュージアムに始まり、同年秋には八尾本社にもミュージアムを設けた。金平糖の手づくり体験のほか、工場内の見学もでき、職人の大変さや金平糖に賭ける思いを体感することができる。
12年には福岡にも開設し、多い年では3店合計で約2万5千人が体験教室を利用しているという。体験教室は有料で、13~16年の観光売り上げは全体売り上げの1割以上を占めるまでになっている。
「1企業の実践する産業観光テーマパークのファンタジーを感じる」「日本文化体験を目で見て、作って楽しめる丁寧なプログラムで、手づくり工房のスタイルを基本とした事業運営をしており、地域を代表する産業観光になっている」ことが評価された。
その他の受賞団体は次の通り。
観光庁長官賞=田舎館むらおこし推進協議会(青森県田舎館村)▽銀賞=岩見沢市観光協会(北海道岩見沢市)。