産業観光まちづくり大賞、金賞に広田湾遊漁船組合


広田湾遊漁船組合による海中熟成酒の設置と水揚げ体験

 全国産業観光推進協議会と日本観光振興協会は9月26日、第13回「産業観光まちづくり大賞」の金賞に岩手県陸前高田市の広田湾遊漁船組合を選んだと発表した。表彰式は10月25日、インテックス大阪(大阪市住之江区)で開催される「全国産業観光フォーラム」の式典で行われる。

 今回は全国13の団体から応募があり、審査委員会(委員長、福川伸次・学校法人東洋大学総長)で各賞を決めた。

 金賞受賞の広田湾遊漁船組合は遊漁船資格を持つ漁師で成る組織。同湾の海産物をはじめ、市のさまざまな地域資源のPRを目的として漁業体験や情報発信、加工品開発などを手掛けている。

 2017年11月には「広田湾海中熟成プロジェクト」を立ち上げ、日本で唯一、常時提供可能な海中熟成の体験型観光サービスを行っている。

 海中熟成は、養殖いかだを活用し、日本酒やワインを海に沈めて熟成することで味がまろやかになり、うま味が増すという特性を生かした保存法。参加者はアルコールランプを使った防水作業やメッセージカードの記入などを行った上で、漁船に乗り、養殖いかだに向かう。現場では酒の設置や水揚げなどを体験。また、プログラムには牡蠣(かき)むきやワカメの芯抜きなどもある。

 審査員は「海中熟成酒は新鮮。本物の漁場見学という産業観光の手法も新しい」「ユニークな視点とともに、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングを通じた高付加価値化の手法が優れている」と高く評価した。

 経済産業大臣賞は高岡銅器の鋳物メーカー、能作(富山県高岡市)が受賞。社内に産業観光部を立ち上げ、本格的に産業観光を開始。その際、(1)ファクトリーツアー(2)ノウサクラボ(3)ファクトリーショップ―など五つのテーマを設定。

 ガイドの案内のもと、工場見学やオリジナル作品の製作体験、能作が作った食器で楽しむ地元食材を使った料理など、テーマに沿った産業観光コンテンツを提供している。また、小中学校の社会見学の受け入れや出張授業など教育に関する取り組みも行っている。

 「モノづくり技術に多様な観光要素(施設、体験、食事、新たなイベント創造など)を駆使し、事業性を確立したアイデアは秀逸」と評価する一方、県西部全体の観光拠点となることを期待する声もあった。

 真珠取り出し体験とオリジナル真珠アクセサリー作り体験で観光庁長官賞を受賞したのが三重県の志摩市。年間1万人を超える参加者があるという。周辺の飲食店や宿泊施設などへの誘客や、定期船、路線バス、タクシーといった公共交通機関の利用者増にも貢献していることなどが決め手となった。

 その他、銀賞はオタフクソースWood Eggお好み焼館、奨励賞は東京都の武蔵野市・市観光機構がそれぞれ受賞した。


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