生衛業の景況、持ち直しの兆し


 日本政策金融公庫はこのほど、ホテル・旅館など生活衛生関係営業(生衛業)の景気動向等調査の今年1〜3月期分を公表した。同期の生衛業の売上DIはマイナス38.5で、前期から3.0ポイント低下した。ただ、前年同期比では10.1ポイント上昇した。公庫では生衛業の景況は「依然として厳しいものの、緩やかながら持ち直しの動きがみられる」としている。

 調査は2月上旬、ホテル・旅館、飲食業、理容業など生衛業3188企業に行った。

 同期の生衛業全体の売上DI(前年同期比で増加とする企業割合から減少とする企業割合を引いた値)は前年同期比10.1ポイント上昇で、8期連続で前年同期を上回った。2010年1〜3月期のマイナス54.9を底に、増減を繰り返しながら上昇基調が続いている。

 業種別では、ホテル・旅館がマイナス24.5で、前期のマイナス12.3から12.2ポイント低下した。来期は1ケタ台のマイナスに上昇する見通し。

 ほかの業種では、映画館、公衆浴場業、そば・うどん、すし、料理、社交の各業種で前期比上昇した。

 今期の全業種の採算DI(当該期黒字の企業割合から赤字の企業割合を引いた値)はマイナス23.4で、前期比5.6ポイント低下。前年同期比では3.4ポイント上昇し、2期連続で前年同期の水準を上回った。

 このうちホテル・旅館はマイナス24.5で、前期のマイナス5.4から19.1ポイント低下した。

 今期の全業種の業況DI(前期比で好転とする企業割合から悪化とする企業割合を引いた値)はマイナス46.7で、前期比16.0ポイント低下。前年同期比では5.9ポイント上昇し、9期連続で前年同期の水準を上回った。

 このうちホテル・旅館はマイナス47.5で、前期のマイナス11.8から35.7ポイント低下した。来期は1ケタ台のマイナスに上昇する見通し。

 ホテル・旅館の特徴的な業況判断理由は次の通り。

 【今期・好転】客単価は低水準が続いているが、客室稼働率は回復の兆しがあり、底を打った感がある。東日本大震災、原子力発電所の事故の影響で大打撃を被ったが、新たなプランの作成や経費の見直しなど、企業の在り方を考えるよい機会となった。(奈良県)

 【今期・不変】前期同様、原子力発電所の事故の風評被害が継続しており、なかなか売上増加にはつながらない。(福島県)

 【来期見通し・好転】前期までは東日本大震災の関係者の利用があったが徐々に減少してきている。来期は東北六魂祭や観光、スポーツ大会等のイベントが多く予定されており利用客の増加を期待している。(岩手県)

 【来期見通し・不変】来期は春の行楽シーズンだが、当施設は宴会のみを利用するお客さまが多いので、あまりプラス効果が期待できない。そこで、宿泊した場合の特典を設け、1人でも多くの方に奈良に泊まってもらえるよう考えたい。(奈良県)

 【来期見通し・悪化】東日本大震災の影響による落ち込みも、ようやく前期比約80%の水準まで回復したが、震災発生から1年経過したことを受け、マスコミで大きく報道されると、客足が再び鈍る可能性があるのではないかと心配している。(千葉県)

 
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