日本政策金融公庫はこのほど、ホテル・旅館など生活衛生関係営業の景気動向等調査の7〜9月期分を公表した。同期の生活衛生業の売上DIはマイナス40.3で、前期(今年4〜6月期)比0.3ポイント低下した。採算、業況の各DIもそれぞれ前期から2.2ポイント、6.9ポイント低下した。公庫では、同期の生活衛生業の景況を「依然として厳しく、持ち直しの動きにかげりがみられる」とした。業種別では、ホテル・旅館業の売上DIが前期から上昇した。
売上DI(前年同期比で増加とする企業割合から、減少とする企業割合を引いた値)は前年同期比でも3.1ポイント下回った。前年同期の水準を下回るのは10期ぶり。来期の見通しは今期比9.8ポイント上昇のマイナス30.5。
業種別では、ホテル・旅館業、食肉・食鳥肉販売業、氷雪販売業、理容業の4業種で前期比上昇した。ホテル・旅館業は同5.6ポイント上昇のマイナス17.6。前年同期比でも上昇した。来期は20台前半に下降する見通し。
採算DI(当該期に黒字とする企業割合から赤字とする企業割合を引いた値)は前期比2・2ポイント低下のマイナス24.9。前年同期比では5.7ポイント低下し、2期連続で前年同期の水準を下回った。
業種別では、ホテル・旅館業が前期比18.9ポイント上昇のマイナス12.9。ほかに、飲食業、公衆浴場業など6業種で上昇した。
業況DI(前期比で好転とする企業割合から悪化とする企業割合を引いた値)は前期比6.9ポイント低下のマイナス29.8。前年同期比では0.6ポイント上回り、これで11期連続で前年同期の水準を上回った。来期の見通しは今期比10.2ポイント上昇のマイナス19.6。
業種別では、ホテル・旅館業が前期比23.2ポイント上昇のマイナス1.2。ただ、来期はマイナス20台前半に落ち込む見通しだ。
ホテル・旅館業の特徴的な業況判断理由は次の通り。
【今期・好転】「電気不足の影響から、老朽化した工場に新たに太陽光熱のパネルを設置する業者が長期で宿泊された。夜遅く帰館されても、いつでも食事ができるようにするなどサービスの充実に努めた」(広島県)。
【今期・不変】「インターネットを活用した結果、多方面から問い合わせがある」(島根県)。
【今期・悪化】「今年に入り、東日本大震災と原子力発電所事故が盛んにテレビ報道されたこともあり、除染工事の作業員、警察機動隊の長期宿泊者以外の観光客は予想以上に減少している。風評被害の影響の大きさを実感している」(福島県)。
【来期見通し・好転】「ブライダル部門の会場をリニューアルしたことにより、9月以降の予約が増えている」(高知県)。
【来期見通し・不変】「体育大会に出場する学生等の常連のお客さまがいらっしゃる。学生は6千円程度を好むが、当館はホテルに比べ割安であること、畳の部屋であり人数の調整が可能で、料理も提供できることが強みである」(山口県)。
【来期見通し・悪化】「中国、韓国からの観光客の減少が予想される」(熊本県)。