溝畑観光庁長官、「オール日本で観光立国」強調


オールジャパンを強調する溝畑長官

オールジャパンを強調する溝畑長官

 観光庁の新長官にサッカー・クラブチーム「大分トリニータ」の運営会社の前社長、溝畑宏氏が4日付で就任した。訪日外国人3千万人という新目標の設定、観光予算の倍増など、観光政策が新たな段階を迎える中、溝畑長官は、地域や国民を主役とした「オールジャパン」の推進態勢づくりを進め、各施策を「スピーディー」に実行に移すのが使命だと強調した。地方のクラブチームを短期間でプロリーグの強豪に押し上げた手腕を観光立国の推進にどう生かしていくのか注目だ。

 溝畑長官は4日、専門紙向けの記者会見で、「政府の成長戦略に掲げられたように、観光を日本の元気、再生のエネルギー、エンジンにしたい。それには行政、民間の垣根を越え、国民1人ひとり、地域が主体のオールジャパンの態勢が必要だ」と述べた。2年間の任期中で外客1千万人を実現することを目標に掲げたほか、国内観光についても「発展の余地はまだまだある」として地域の活性化に取り組んでいく意欲を示した。

 旧自治省の出身だが、民間での経営手腕を買われての就任。観光庁の運営姿勢では、「プレイングマネージャー(選手兼監督)の気持ちで職員とともに取り組む。ネットワーク、フットワーク、スピード感、現場主義を大事にしたい」。また、「本保(芳明)前長官にはアクションプランなどの土台を整備していただいた。これら施策をスピーディーに実行するのが使命だ」とも述べた。

 取り組むべき課題には、政府の観光立国推進本部の検討テーマに沿って、(1)訪日外国人3千万人の実現に向けた施策の推進(2)省庁連携による施策の推進(3)休暇の分散化などを通じた国内観光の活性化──を挙げた。特に外客誘致では、中国をはじめとするアジアからの誘客拡大を重視した。

 前職のクラブチームの運営では、スポンサー確保や観客動員に腐心しながらもプロリーグ1部への昇格、カップ戦優勝を果たしたが、昨年12月、経営悪化に伴い社長を辞任した。「経済などの環境の変化に自分自身が対応できなかった。カップ戦に優勝し日本一になった慢心もあった。大きな夢を抱くことは大事なことだが、常に足元をみなくてはいけない。大きな教訓になった」と語った。

 倍増が見込まれる2010年度観光庁予算の執行に関しては、「この予算をより効果的に使うことが非常に大事なことだ。十万円単位で仕事をしてきた私からみれば、とても大きなお金。きっちりと執行したい」と述べた。

 長官交代の人事は昨年12月25日、前原誠司国土交通相が記者会見で発表した。同日夕に10年度予算案が閣議決定されるというタイミングの突然の発表だった。

 前原国交相は、「本保長官の仕事ぶりに何ら瑕疵があった訳ではない」と説明した上で、10年は観光行政にとって「有言実行の年」だとして、溝畑氏を「本保長官が蒔いた種を大きく具体的に開花させる上で必要な人材」と指摘。地方のクラブチームを日本一に導いた経営手腕を高く評価し、複数の候補者の中から自ら選んだことも明らかにした。

 前長官の本保氏は07年7月から国交省総合観光政策審議官、08年10月の観光庁の発足に伴い初代長官に就任。観光部門のトップとして通算2年半にわたって観光政策を推し進めた。

溝畑 宏氏(みぞはた・ひろし)
85年に旧自治省入り、北海道庁、大分県に出向した経験を持つ。大分ではサッカーのクラブチーム「大分トリニータ」の創設に携わり、2000年4月に大分フットボールクラブ取締役ゼネラルマネージャー、04年8月に社長。日韓共催の02年サッカー・ワールドカップの組織委員会実行委員も務めた。チームは03年にJリーグの1部リーグに昇格、08年にはナビスコ杯に優勝するなど躍進した。しかし、運営会社の経営悪化で09年12月に社長を辞任。東京大学法学部卒。京都府出身。49歳。

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