帝国データバンクはこのほど、消費税率再引き上げに関する企業の意識調査を行った。来年10月に予定される消費税率の10%への再引き上げに対し、「延期」「現状維持」「引き下げ」を合計した“否定派”が約7割と、多くを占めることが分かった。企業規模が小さくなるほど引き上げに否定的で、中小企業の厳しい経営状況が垣間見られる。
調査は10月20〜31日、全国の企業2万3327社に行い、このうち1万755社から有効回答を得た。
消費税率の再引き上げに関して「時期を延期して引き上げるべき」が32.1%と最も多かった。以下、「引き上げるべきでない(現行の8%を維持)」の27.4%が続き、「消費税率を引き下げるべき」は、6.6%だった。
この三つを加えた再引き上げ否定派は66.1%と、およそ7割に達した。
「予定通り引き上げるべき」は25.3%と、3番目に多い回答。「分からない」は8.6%だった。
回答を企業の規模別に見ると、「予定通り引き上げるべき」が、大企業で27.1%、中小企業で24.8%、小企業で23.3%と、企業の規模が小さくなるにつれて回答率が下がっている。
中小企業からは「もし増税になれば、ますます景気が落ち込む」「大企業とは異なり、中小企業の経営状況は非常に微妙な段階」「中小企業は業績回復に期待できないし収益の圧迫も感じている」などの意見がみられた。
否定派を地域別に見ると、北海道が73.2%と最も高く、南関東(63.2%)を10.0ポイント上回った。
「年末の需要期前の増税は経済が混乱するおそれがある」と、冬の観光シーズンを前にした10月の引き上げを懸念する意見もあった。
業種別では、「教育サービス」「家電・情報機器小売」などが「時期を延期して引き上げるべき」、「飲食料品小売」「繊維・繊維製品・服飾品小売」などが「引き上げるべきでない」の回答が多い。
「予定通り引き上げるべき」とした企業では、「財政再建」が81.6%と突出して高く、次いで「社会保障の充実」が51.8%と半数超となった。
「いま財政再建をしておかなければ将来世代が過大な負担を負うことになる」「社会保障における世代間のギャップを埋める努力が必要」のほか、「5%から8%への引き上げ時に価格に転嫁できておらず、10%になる時に対応する予定だった」との声も多くあった。