富裕層向け旅行の見本市「ILTM(インターナショナル・ラグジュアリー・トラベル・マーケット)アジア」の開催に合わせ、海外の旅行会社を招請した視察ツアーが日本各地で実施された。自治体や国土交通省地方運輸局が連携し、富裕層を顧客に持つアジアや豪州の旅行会社などを招待。地域の自然や文化、温泉、食などにまつわる付加価値の高いプログラムを紹介し、訪日旅行の魅力をアピールした。
ILTMアジアは、中国の上海で今月4〜7日に開催。富裕層を顧客とする旅行会社などのバイヤーと、宿泊施設や観光施設などのサプライヤーが商談を行う。カンヌで開かれるILTMのアジア版で2007年から上海で開かれている。
日本で行われた視察ツアーにはILTMアジアに参加するバイヤーを招待している。今年は北海道、直島(香川)、福岡、京都、沖縄の5カ所で、国のビジット・ジャパン地方連携事業などを活用して行われた。
北海道での視察ツアーでは、北海道、北海道観光振興機構、北海道運輸局が連携し、北海道らしい自然を生かしたアウトドア体験などを紹介した。1〜4日の日程で、参加したのは豪州、中国、香港、インド、インドネシア、シンガポール、タイの旅行会社の10人。
アウトドア体験では、支笏湖でのカヌーや釣り、支笏湖畔でのホーストレッキング、ニセコ尻別川でのラフティングなど。宿泊は鶴雅リゾート水の謌(千歳市)、ルネッサンスサッポロホテル(札幌市)、ザ・ニセコカンパニー(倶知安町)。
参加者の反応は良かったという。北海道運輸局では「透明度の高い支笏湖でのカヌーをはじめアウトドア体験は好評だった。食事に関しても質や鮮度に対する評価が高かった」としている。
直島での視察ツアーは1〜4日、香川県、香川県観光協会、四国運輸局が連携して実施した。中国、韓国、シンガポール、豪州、インドなどの旅行会社から参加した10人に対し、アート(芸術)をテーマとした観光資源を紹介した。
高松市のイサム・ノグチ庭園美術館、直島や豊島の近代・現代アート施設などを案内。瀬戸内海の移動にはクルーザーをチャーターした。直島ではベネッセハウス、琴平町では湯元こんぴら温泉華の湯紅梅亭に宿泊した。
富裕層市場をターゲットにした初の招請事業の手ごたえについて、四国運輸局では「瀬戸内海の多島美や素朴な田舎の美しさに、現代アートが融合する光景は、参加者に強い印象を与えたようだ。富裕層向けのデスティネーションとしても、直島などのブランド力を高めていきたい」としている。
北海道ニセコではラフティングを海外旅行会社の担当者に体験してもらった