田中優子教授
観光経済新聞社が加盟する日本専門新聞協会（東京都港区）は1月27日、新春講演会を東京都千代田区の経団連会館・国際会議場で開いた。法政大学名誉教授・前総長で江戸東京研究センター特任教授の田中優子氏が「江戸から考える持続可能社会」をテーマに講演した。加盟各紙の読者150人を無料招待して実施した。
田中教授は江戸時代について「1560年代に完成したグローバリゼーションに独自に対応した時代で、約270年間、内戦も国外との戦争も回避した。循環システムの整備により、持続可能社会を作り上げた時代でもあった」と指摘。また「周辺諸国との外交関係上、ヨーロッパとの通史関係を樹立し、世界中の情報を得ることで、輸入依存から国産技術に転換して大量の職人を輩出し、『ものづくり日本』を創造した時代だった」と評価した。
鎖国については、「江戸時代は中国、インドからの輸入量を少なくしたが、オランダや東インド会社経由でヨーロッパからの情報やものが入った」と説明。その上で「朝鮮通信使、琉球使節などの定期的な来日もあり、むしろ江戸時代以前よりも外国人が国内を移動し、庶民の目にも触れていた」と話した。さらに「国内で技術革新を進め、食料だけでなく、布や紙を含めた生産力と技術力が飛躍的に向上した。それらが、列島周辺を動く大型船舶によって各地に運ばれた」と述べ、鎖国の副産物として職人が活躍し、国内経済も発達したと解説した。
田中教授
