住宅を活用した宿泊サービスを条件付きで解禁する民泊法案は、今通常国会への提出に向け、政府、与党での最終調整に入っている。民泊の年間提供日数の上限は「180日」で調整中とみられる。宿泊業団体は、ビジネス環境の公平性などの観点から行き過ぎた規制緩和を問題視しており、陳情活動を継続している。法案は与党の事前審査などを経て、早ければ3月10日の閣議決定が見込まれている。
自民党の国土交通部会、厚生労働部会などによる合同会議が2月22日に開かれ、観光庁などの説明を受けて民泊法案の事前審査が始まった。合同会議に合わせて、日本旅館協会や全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)の役員が自民党本部を訪れるなど、関係する国会議員への陳情活動は継続的に行われている。
民泊法案をめぐって旅館・ホテル業界などが注目する条項の一つが、民泊の年間提供日数の上限。180日という日数は、政府の規制改革実施計画(昨年6月閣議決定)に「180日以下の範囲内で適切な日数で設定する」と定められたことを受け、閣議決定の範囲内で最大の日数を営業可能にする案だ。
旅館・ホテル業界は、政省令などに定められる日数の具体的な算定方法についても注視している。実際に客が宿泊した夜をまたぐ24時間を1日と算定して年間180日とする算定方法の場合、一晩おきの宿泊となれば、実質的に年間営業の状態になり、「住宅」の範囲を超えているとして問題視する。
また、旅館・ホテル業界は、観光地域づくりに関わることから、地方自治体が民泊を制限できる制度設計を要望してきた。法案には生活環境などへの影響を理由に、都道府県などが条例によって民泊を制限できる条項が盛り込まれているようだが、具体的にどのようなケースでどのような制限が可能なのかなど、政省令などを含めた運用面に注目が集まっている。