民泊、許可施設は7%のみ 京都市調査で判明


 京都市は9日、「民泊施設実態調査」の結果を公表した。市内の民泊施設は2702件で、旅館業法上の営業許可をとっている施設は189件と、全体の7.0%にとどまった。所在地が特定できない施設も1442件、53.4%と半数強あった。市では「民泊施設については無許可営業の施設が多く、宿泊客と周辺住民の安心・安全の観点から問題がある」と指摘した。

 調査は昨年12月1日から今年3月31日まで実施。市内における掲載件数が10件以上確認された七つの仲介サイトと、調査時点で日本法人により運営されている唯一の仲介サイトの計8サイトを対象に、掲載されている民泊施設の(1)施設数および施設タイプ(2)施設所在地および旅館業法許可の有無(3)民泊運営者の住所地—などを調べた。

 民泊施設2702件をタイプ別に見ると、集合住宅が1677件(全体の62.1%)、戸建て住宅が935件(34.6%)。全体のおよそ3分の2がマンションなどの集合住宅となっている。

 2702件のうち、所在地が特定できたのは1260件で、全体の46.6%と半数に満たない。そのうち旅館業法上の営業許可が確認できたものは189件、全体の7.0%にとどまった。

 所在地が特定できたうち、無許可と見られる施設が1071件(39.6%)。所在地が番地まで特定できない施設で、同じ町に営業許可物件がないなど無許可と思われる施設が776件(28.7%)。この二つを合わせた1847件(68.4%)が無許可で民泊をしていると推測される施設の最低数で、ほかに所在地が区レベルまでしか把握できないため、許可か無許可か判断できない施設がある。

 市内民泊施設の所在地の都市計画法における用途を確認したところ、2026件(75.0%)が用途に適合。住居専用地域で民泊を運営するなど322件(11.9%)が不適合、162件(6.0%)が不適合の可能性があるとした。

 民泊運営者の住所地は、京都府内在住と思われる運営者が1788人(66.2%)。多くの運営者が「京都」としているため、市内在住者の人数は把握できていない。このほか京都以外の日本国内在住者は712人(26.4%)、海外在住者は55人(2.0%)。約3割の運営者が京都府外から施設を運営していると見られる。

 1人で宿泊した場合の1泊当たりの料金は「6001円〜9千円」が最も多く21.0%。「9001〜1万2千円」も17.9%と多い。「ビジネスホテルと競合する可能性があると思われる」(京都市)。

 市が民泊施設周辺の住民にヒアリングを行ったところ、全体的な傾向として「施設周辺の住民は民泊施設の開業に当たっての事前説明をされていない」「管理者が常駐せず誰がどのように運営をしているか分からない、またトラブル時の連絡先も分からないことなどが、周辺の住人の不安をさらに増大させている」「外観からは宿泊施設であるかどうか判別はできず、宿泊客が迷うケースもある」などが挙がった。

 市では調査対象の8サイトにアンケートも試みたが、回答があったのは「とまりーな」を運営する日本法人の1社のみだった。同社は「法令順守を徹底しており、掲載施設に対しても旅館業法上の許可物件であることを確認してから掲載している」「一方で、『同等条件での競争』の観点から、違反事業者に対しては適切に規制・摘発をしていくことを望んでいる」と回答している。このほか「Airbnb」は別途、協議の場を設定することができたという。

 また民泊運営者に対するアンケートやヒアリングも行い、「多くの民泊運営者は民泊の営業には旅館業の許可が必要であると認識している」「しかし、旅館業許可の取得については、自分で現在運営している民泊施設での許可の取得は困難であると認識している。また、たとえ可能であったとしても設備要件を満たすための投資が必要なことや各種手続きの手間がかかることから、許可を取得しようと思っていないものもいる」などの傾向があると分析している。

 さらに不動産管理会社にもヒアリングを実施。「賃貸の業界としては、民泊は空き室対策として考えられ、歓迎している」「しかしながら、住人とのトラブルは防止したいと考えており、法的に緩和された場合であっても、運用に関しては別途ルールが必要と考えている」などとしている。

【調査対象サイト】
 Airbnb / VRBO / HomeAway / 住百家 / Wimdu / Roomorama / Booking.com / とまりーな

<関連データ>旅館業法の無許可民泊が7割に >>pdfで見る

 
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