東京オリパラの延期決定、中止回避も強い危機感

  • 2020年4月6日

都内の宿泊業「経営維持できるか」

 東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの来年夏までの延期が決まった。観戦者や大会関係者の受け入れを予定していた東京都内の宿泊業の関係者は、大会の中止が回避されたことにひとまず安堵(あんど)するが、来年の開催まで経営を維持できるか、強い危機感を抱いている。

 「中止が回避され、来年に希望がつながった。ただ、そこまで持ちこたえられるかどうか」。東京都ホテル旅館生活衛生同業組合(東京旅組)の関係者は語る。

 世界保健機関(WHO)は3月11日、新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行「パンデミック」を宣言。安倍晋三首相は同24日、7月に開幕予定だった五輪の来年夏までの延期を表明した。

 東京旅組の関係者によると、五輪関係者の宿泊は、東京旅組に加盟する836軒のうち、100軒程度が受け入れる予定だった。五輪の組織委員会が昨年4月ごろから旅行会社を通して客室を確保。ただ、開催延期により、これら客室は全てキャンセルされる。

 五輪の開催いかんに関わらず、旅館・ホテルの足元の経営は非常に厳しい状況だ。東京旅組では、キャンセル額などの数字は出していないものの、「惨憺(さんたん)たる状況」という。ある組合員旅館は、7、8月の五輪・パラリンピック開催予定期間中、「部屋がほとんど埋まっていたが、全てキャンセル」。別の組合員ホテルは「2月下旬のリニューアルオープン以来、1カ月間でお客さまが3人」という悲惨な状況だ。

 「売り上げが半分ならいい方。昨年までのインバウンド景気で内部留保をため込んでいる旅館や大手のホテルは来年の五輪までなんとか持ちこたえるだろうが、中小などは厳しい」と組合関係者は危機感を募らせる。

 東京旅組は3月19日、東京都の小池百合子知事宛てに新型コロナウイルス対策の要望書を提出している。要望は返済の一時猶予など柔軟な対応を金融機関に働き掛けることや、都の特別融資制度の創設、収束後の誘客に向けた取り組みなど6項目からなる。

 東京旅組は総額2500万円の「新型コロナウイルス感染症対策補助金」も確保し、組合員に一定額を補助。感染症予防対策資金に充ててもらっている。

 客室20室規模のある組合員旅館は、東京五輪・パラリンピック期間の宿泊予約を3月半ばから受け付ける予定だったが、開催の延期で予定を変更。現在は6月末までしか受け付けていない。経営者は「先(6月まで)の予約は20~30件程度。3月の3連休は、20日はビジネス客5人、21日は外国人客2人のみだった」。宿が所在する区に新型コロナウイルス対策融資を申し込んだが、「窓口が混み合っており、現在も審査中の状況」。経営者は行政のスピーディーな対応を求めている。

 都内の観光地にある別の組合員旅館は、五輪開催期間の宿泊予約が全てキャンセルになった。外国人観光客の宿泊比率が100%近くを占めていたこともあり、「直近の予約もゼロ」(経営者)と極めて厳しい状況だ。政府系金融機関の特別貸付に融資を申し込んだが、審査に10日程度かかる見込みという。

 経営者は「事態が収束し、(通常通り)予約が入りだすのは10、11月ごろではないか」と長期戦を覚悟する。「街はオーバーツーリズムで悲鳴を上げていた。同じ過ちを繰り返さないよう、この時期を利用して、街ぐるみで対策を考える」と前を見据える。

 
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