100年前、明治41年(1908年)の日本で民間初の世界一周パック旅行が催行された。「世界一周会」は朝日新聞が旅行を企画、英トーマス・クック社が手配。自社のマス媒体をフルに活用して宣伝し、不特定多数から参加者を募った。
ジャーナリストの杉村楚人冠、野村證券創業者の野村徳七、高千穂学園創設者の川田鐵彌など56人が参加し96日間かけて世界を一周した。うち女性参加者は3人。旅行代金は2340円、現在の貨幣価値で1170万円に相当するという。
「参加者数と踏破距離からすれば海外旅行史上最大の世界一周旅行であった可能性がある。しかも世界一周会はわが国において欧米パックツアーの嚆矢(こうし)であることにとどまらず、海外パックツアーそのものの嚆矢とも考えることができる」(著者前書きから)。この世界旅行の一日一日を貴重な写真とともに詳細に記録している。
著者の小林健氏は、明海大学ホスピタリティ・ツーリズム学部教授。A5版、384ページ。定価3200円(税別)。発行所=春風社。