書評「女の旅〜幕末維新から明治期の11人」


 幕末維新後の新しい時代の中で、己の興味や使命に突き動かされて国内外を旅した女性たちの姿、人生を、近畿日本鉄道の文化研究機関「旅の文化研究所」の主任研究員として、旅や観光に関わる風俗を調査してきた著者が、その足取りをたどることで描いた1冊。

 同研究所の機関誌「まほら」での連載「冒険者たち」をまとめた。

 本著では、津田梅子やイザベラ・バード、岸田俊子などの俳人や留学生、旅芸人として旅に生きた11人の女性たちを取り上げる。

 女性の自立、社会進出に伴い、「旅は女性がつくる」と言われて久しい昨今だが、明治維新までは女性の旅そのものが難しく、珍しいものであった。新しい時代を生きた女性たちの人生をそれぞれの旅を通して見ることで、旅の自由のなかった時代から維新後の近代化時代までの社会情勢をも知ることができる。

 中央公論新社刊。223ページ、新書版。定価は税抜きで780円。

 
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