星野リゾート(長野県軽井沢町)は14日、国の重要文化財「旧奈良監獄」(奈良市)を活用したホテルについて、同社のブランド「星のや」を冠して「星のや奈良監獄」=画像はイメージ=として2026年春に開業すると発表した。所有権を国が保持したまま運営権を民間に売却するコンセッション方式が採用され、刑務所だった施設をホテルとして開業する試みは国内初となる。観光地をホテルへと利活用し、唯一無二の非日常的な滞在体験を提供する。
旧奈良監獄は1908年(明治41年)に完成した、明治政府が監獄の国際標準化を目指して建てた五大監獄の一つ。赤れんが造りの建物は歴史的価値が高く、意匠的にも優れた近代建築であるとして、2017年2月に国の重要文化財に指定されている。監視をしやすいよう、中央の看守所から五つの収容棟が放射状に並ぶ「ハビランド・システム」と呼ばれる造りとなっているのが大きな特徴で、老朽化などのため17年に閉鎖されていた。その後、耐震工事を施し、24年夏開業を目指して準備を進めていたが、耐震補強工事を行うため2年ほど開業が後ろ倒しとなった。
同ホテルの延べ床面積は約1万平方メートル。客室数は48室で、レストラン、ラウンジのほか、旧奈良監獄の歴史や施設を知ることができるミュージアム(日帰り利用可能)を付帯する予定。