日観連、総会で国観連との合併案承認


日観連・近兼会長(左)と国観連・佐藤会長=6月24日

日観連・近兼会長(左)と国観連・佐藤会長=6月24日

 日本観光旅館連盟(近兼孝休会長、2946会員)の通常総会が6月24日、東京都内で開かれ、国際観光旅館連盟(佐藤義正会長、1112会員)との合併による新団体設立案が承認された。国観連は6月14日の通常総会ですでに承認していることから、来年4月に新団体が発足することになった。ただ、合併までには調整が必要な難題も残っている。会費設定などは具体的な制度案を示して承認を得ているが、支部組織や事業の統合などは今後の検討課題だ。

業界の地位向上と経営課題の解決へ
 日観連は、定款が定める通り合併に必要な会員4分の3以上の賛成を集めた。6月1日現在の会員数2948に対して2211人以上の賛成が必要だったが、会員から回収した表決書の賛成票は承認ラインを約100票超えた。

 新団体の設立は来年4月1日を予定。両団体は今年度の総会で公益法人改革に伴う一般社団法人への移行を承認しており、いったん一般社団法人の認可をそれぞれに取得。10月をめどに新設合併契約を締結する。来年3月末で両団体を消滅させ、新たな一般社団法人を発足させる。

 日観連の総会終了後、両団体の会長がそろって記者会見を開いた。

 日観連の近兼会長は「総会では合併に関する質問なども出ずに会員の理解が得られたが、それだけにプレッシャーを感じる。すばらしい団体をつくり、観光立国にふさわしい宿づくりを推進していきたい。政府や与党に対しても“圧力”のある団体をつくる必要がある」と述べた。

 国観連の佐藤会長は「東日本大震災からの復興に際しても、(一次産業などのような手厚い支援措置を得られず)旅館業界の基盤のぜい弱性を思い知らされた。一定の数を集めて旅館業界の地位の向上を図りたい。個々の旅館の経営にしても、企画・営業力のなさに危機感を持っている。組織でこれを高めることが必要だ」と訴えた。

支部や事業の再編 これからの調整に
 新団体の設立までには課題も残っている。会費制度は当面2年間を旧加盟団体の会費額に据え置き、3年目から客室規模別の統一制度を導入することで具体的な額なども提示済みだが、支部組織の統合や事業の再編などは、これから方向性を示さなければならない。

 新団体の支部組織は、国土交通省の地方運輸局の管轄に合致した9支部に統合される。現在の支部組織は、日観連が昨年度の通常総会で25支部を9支部連合会に再編したことで、両団体ともに9ブロックの体制になってはいるが、活動単位が合致しないブロックもあり、活動や支部会費などについて現支部間で調整する必要がある。

 事業の統合も課題。各団体が継続的に投資してきた事業をいかに再編するかなどが議論になる。また、合併により新団体の構成会員は、施設や客室といった規模の違いはもとより、日本旅館やホテル、ビジネスホテルといった営業形態も多様になる。経営課題も異なり、事業の優先順位も違ってくる場合も出てくる。新団体では、常設委員会のほかに「大型旅館・ホテル・中小旅館別の部門委員会」を設けるなどとしているが、事業の再構築なども求められる。

「いばらの道も忍耐と寛容で」
 両団体にはそれぞれ60年を超える歴史があり、会員にもさまざまな思い入れがある。その中で合併問題は20年来の懸案。2006年11月にはそれぞれの理事会で基本合意に達しながら、具体化の段階で合併が破談になったことも。今回は両団体が総会で承認するところまでこぎつけた。

 合併実現までの今後の調整について、佐藤会長は「個別、具体的な話になると、相当難しい問題が出てくる。これからもいばらの道」と表現。近兼会長も「4月まで残り9カ月、協議すべきことはたくさんある。両会長には忍耐と寛容が必要になる」と語った。

 会員数の減少や宿泊業の厳しい経営環境に対する危機感を踏まえ、最終調整をいかに円滑に進められるか。宿泊業の振興を支える新団体の設立に向け、両団体は全会員に協力を呼びかけている。

日観連・近兼会長(左)と国観連・佐藤会長=6月24日
日観連・近兼会長(左)と国観連・佐藤会長=6月24日
 
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