日本観光振興協会は3月30日、新型コロナウイルスの感染拡大で観光需要が低迷していることを踏まえ、観光関係団体と意見交換してまとめた要望書を田端浩観光庁長官に提出したと発表した。日本観光振興協会など観光関係6団体が観光庁に提出した「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う観光関係の要望」の全文は次の通り。
新型コロナウイルスの世界的まん延により人的交流が激減して、インバウンドはもとより国内旅行、海外旅行にも極めて大きな打撃を受け、観光関係の事業者は瀕死(ひんし)の状態です。政府により事業や雇用継続のための緊急対策が迅速に打ち出されたことは評価しますが、各方面の自粛がさらなる観光需要の低迷を招き、収束への出口も見えないため、全ての事業者が不安を増大させています。
国民の健康と安全は全てに優先されることはもちろんですが、感染防止と社会経済活動を両立させていくことも必要です。そのためには、観光関係事業者自らの取り組みに対し国を挙げて支援していただくことが不可欠と考えますので、以下の通り要望いたします。
1 幅広い緊急支援対策の必要性について
(1)需要回復期の観光事業者確保の観点から、ホテルの例であれば関わる事業者は所有者、開発事業者、運営会社、特別目的会社など多岐にわたるので、開発、運営を継続するためにも公的な融資や助成などを拡充
(2)雇用調整助成金の助成率の引き上げ
(3)個人事業主である通訳案内士の仕事創出
2 感染防止と観光が両立する地域内需要の創出について
(1)宿泊施設、公共交通、観光諸施設において、専門家会議「3条件」が交わらない安全環境を「見える化」し、観光客視点で分かりやすく発信するサイトの構築などの情報発信支援
(2)宿泊施設、飲食店、公共交通の地域内観光に使える地域振興券(宿泊、飲食券)の発行
(3)ふるさと納税の返礼品に地域の宿泊飲食券を加えるとともに、期間限定で返礼率、限度額を拡大(特産品などの返礼率よりも宿泊飲食券の返礼率をより高く)
3 国内の収束後、国内観光のV字回復を狙った大胆な対策について
(1)大々的国内観光キャンペーンの支援
(2)全国を対象とした今までにない規模の復興割(対象に旅行商品を含む)
(3)企業が従業員のために行う福利厚生としての旅行券配布や企業内会議の観光地での開催等の慫慂(しょうよう)、損金算入等の税制措置
(4)個人が国内旅行した場合の所得税控除(旅行減税)
4 中長期的な観光事業者の経営基盤を強化する政策について
(1)デジタル化、IT化、感染症対策のための設備投資促進策(補助or税制)
(2)事業再編・統合促進税制
(3)観光事業者、観光地の危機管理体制整備(BCP計画策定など)のための支援