日本銀行さくらレポートの景気総括判断、全て「拡大」「回復」


 日本銀行はこのほど、地域経済報告(さくらレポート)の10月分を公表した。全国9地域の景気の総括判断は、全てが「拡大」または「回復」で、「縮小」などの地域はなかった。前回の7月分との比較では、北海道が判断を引き上げ、ほかの8地域は変更がなかった。「海外経済の減速の影響が見られるものの、所得から支出への前向きな循環が働くもとで、国内需要の増加基調が続いている」(日本銀行)。

 消費税率引き上げについて企業からは、「駆け込み需要とその反動減は、税率の引き上げが小幅であるほか、政府の需要平準化策などから、前回増税時よりも小さいものにとどまると見ている」(百貨店・スーパー)などの声が上がっている。

 総括判断を「拡大」「緩やかに拡大」などとしたのは北海道、北陸、関東甲信越、東海、近畿、中国、九州・沖縄の7地域。「回復」「緩やかに回復」は東北、四国の2地域だった。

 北海道は前回の「緩やかに回復」から「緩やかに拡大」に判断を引き上げた。公共工事が「増加」、個人消費が「振れを伴いつつも、基調としては回復」としたほか、観光で「一部に弱めの動きが見られるものの、堅調に推移している」とした。

 各地の企業からの観光関係の主な声は次の通り。

 「インバウンド需要は地方における成長分野の一つ。今後も拡大していくことが見込まれることから、海外の富裕層のさらなる取り込みを図るため、高級ホテルを建設する予定」(北海道、宿泊)。

 「最近の日韓関係の影響により、韓国人宿泊客のキャンセルが増加している。宿泊客全体に占めるウェイトがさほど大きくないため、今のところ影響は限定的ながら、こうした状況が長期化することを懸念している」(北陸、宿泊)。

 「優秀な人材をつなぎ止めるため、今年度から正規社員への賞与支給を開始したほか、アルバイトの時給も、同業他社と遜色ない水準に引き上げている」(北陸、宿泊)。

 「ホテルの維持・更新投資を検討していたところ、建設業者から2020年以降は需要の一巡を背景に建設単価が下落する可能性を示唆された。このため、投資を東京五輪後まで延期することとした」(関東甲信越、宿泊)。

 「千葉県内の主要観光地や宿泊施設では、台風15号の影響で需要期である9月の3連休の客入りは大きく減少した。頑張って施設の復旧を進めているが、影響は少なくとも年内いっぱいまで残る可能性がある」(関東甲信越、観光施設)。

 「客室稼働率は、韓国人客減少の影響が限定的なものにとどまる中、中国や東南アジア、欧米からの訪日客が増加するもとで、高水準で推移している」(近畿、ホテル)。

 「消費増税後はレストランの利用客の減少を危惧している。このため、10月以降は低価格プランの提供を開始することとした」(中国、宿泊)。

 「さらなるインバウンド需要の拡大を見込み、本島リゾートエリアにおいて宿泊施設の新規開業を検討している」(九州・沖縄、宿泊)。

 「夏場の旅行取扱額は、GWの反動が見られる中でも、旺盛な出張需要に加え、若年層を中心に関西周遊プランの人気が高く、底堅く推移した」(九州・沖縄、旅行)。

 
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