日本経済団体連合会は5日、「観光立国推進基本計画」に関する意見書をまとめた。意見書は、省庁が連携して計画を推進、実行することを求め、その場合、責任体制の明確化や政策の説明責任を果たすべきだと指摘。観光行政を総合的に進めるため、「観光庁の設置のあり方について検討すべきだ」と主張した。ビザ発給要件の緩和、国・地方における国際観光収入の増加目標の設定──などのほか、新たな観光旅行の分野を開拓するため、支援措置を講じるよう提言している。
観光委員会企画部会が中心になってまとめた。基本計画は6月の閣議決定を目指し作業が進められているが、意見書は「計画に盛り込まれるべき事項について、考えをとりまとめた」とし、計画への反映を強くにじませている。
基本計画については、「省庁横断的な施策・事業を企画立案した上で、予算や人員を効率的に活用すべきだ」とし、事前・事後の政策評価実施を徹底することが不可欠と強調。観光庁については「将来的課題」としながらも、行革の趣旨を踏まえた検討を求めた。
観光立国実現には具体的な目標を定めるべきだとし、(1)国・地方における国際観光収入の増加目標(2)空港手続きの簡素化・迅速化──などを挙げ、(1)では「東北、中部、九州などブロック単位での目標設定も一案」、(2)では「全国際空港における出入国手続きにかかる時間は平均10分以内」とまで踏み込んだ。
外客来訪の促進については、VJC実施本部が手がけている国別プロモーション活動を基本計画の一部として明確に位置づけるとともに、国際観光プロモーションに関しては、同実施本部とJNTOが連携を強化して取り組むよう求め、「将来的にはそれぞれの長所を生かす形での機能の一本化に向けた検討を行う」よう求めた。
旅行の新分野開拓では産業観光を例に挙げ、国や自治体は産業遺産の改修・保存のための財政・税制支援を講じるべきだとし、ホールや劇場、コンベンションセンターなどが集積する特区を設定、「税制上のインセンティブ、規制緩和を図る」と要望。
また、観光地の景観が乱れ、無秩序状態にあることを踏まえ「伝統的なまち並みを含む街区を景観法に定める『景観地区』に指定し、条例に基づく景観を維持、形成していくことが重要」と指摘。先進的な取り組みに対しては優先的に支援するよう求めた。