日本秘湯守る会、40周年記念式典を開催


パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

 JTBグループの朝日旅行に事務局を置く、日本秘湯を守る会(佐藤好億会長、179会員)の創立40周年記念式典・感謝の集い「継承と共創」が12月15日、東京都台東区の上野精養軒で開かれた。40年の活動を振り返るとともに、世代を超えて未来に継承していくべきことなどをテーマにパネルディスカッションや基調講演などが行われた。

 会員ら約300人が出席した。檜枝岐歌舞伎「寿式三番叟」が披露された後、来賓のジェイティービー(JTB)田川博己会長が祝辞を述べた。「おもてなしを外国人に具体的に可視化するのは難しいがそれができるのは日本の生活文化ではないか。その原点にいるのは秘湯の会の皆さんだ。守るためにはお金も儲けなければいけない。守りながらどうやっていくのかは、JTBを含めた旅行会社の仕事」と語り「JTBグループとしてしっかり応援したい」と強調した。

 参議院議員の長谷川岳総務大臣政務官、環境省の小川晃範大臣官房審議官、台北駐日経済文化代表處の沈斯淳代表も祝辞を述べた。続いて映画監督の崔洋一氏による記念講演や、祝舞「松づくし」と郷土芸能「花笠踊り」が上演された。

 「秘湯へのロマン(情熱)は、世代を繋ぎ未来へ」と題したパネルディスカッションには、佐藤会長(二岐温泉大丸あすなろ荘)、佐々木義朗氏(丸駒温泉旅館)、遠藤淳一氏(高湯温泉吾妻屋)、山郫太一朗氏(岩間温泉山郫旅館)、武石悠佳さん(山の宿寒の地獄旅館)が登壇。遠藤哲也氏(姥湯温泉桝形屋)が司会を行った。

 「次の世代に何を引き継いでいくべきか」の質問に佐々木氏は「次の世代を育てるためには人として何をすべきか、小さな宿は地域のために何ができるのか。地域に根ざしてやっていく。秘湯は人作り」、武石さんは「会の宿は源流にある宿が多い。自然環境を守って引き継ぐ」、遠藤(淳)氏は「地熱開発問題が国策として進んでいる。自然、温泉を守る人が動かなければならない」、山郫氏は「『里山資本主義』を読んで山は宝の山だと気づかされた。祖父母のノウハウも財産。自然環境を守る」など活発な意見が交わされた。最後に佐藤会長が「宿屋は地方、地域の文化材。地域の心の集約の場所である。50周年に向けた10年は地方の文化がなくなると何が起こるのか考えなくてはならない。行政もふくめて理解してもらえる社会作り、経済環境作りをしなければ今後の地方文化はありえない」と会員らにエールを送った。

 引き続き行われた佐藤会長の基調講演では「次の世代を担っていく宿屋作り、地域作り、環境作りをやっていかなければ、我々自身が地域の文化材になれない。朝日旅行とパートナーを組みながら、今日のテーマである『継承と共創』の精神でやっていく」と強調。出席者らは熱心に耳を傾けていた。

 式典後、同会場で記念パーティーが開かれた。

新会長佐藤和志氏 代表理事2人制に
 翌16日は同会場で、146会員が出席者し、第40回2014年度定時社員総会が開催された。役員の改選を行い、代表機能を対外的と対内的に分割し、2人の代表理事を設置することが決定した。

 佐藤会長が代表理事兼名誉会長に、佐藤和志氏(鶴の湯温泉)が代表理事兼新会長に選出された。

 佐藤名誉会長は環境省をなど官公庁の折衝、大学との連携など対外業務を担当する。佐藤新会長は経営戦略本部長も兼任し、広報、会報など対内業務を担当する。

パネルディスカッションの様子
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