日本秘湯を守る会 会長(新潟・自在館)星 雅彦氏に聞く


日本秘湯を守る会 会長(新潟・自在館)星 雅彦氏

変わらないことが最大の魅力

 ――秘湯の宿とは。

 「バブル絶頂期の大量送客、大量販売の時期は、バスが入らない、経済的な魅力がない存在として蚊帳の外だった。当時、朝日旅行会の創業者であった故岩木一二三先生と佐藤名誉会長が造語で『秘湯』という言葉を生み、会は全国に声を掛けて集った33軒から始まった。山奥の小さな宿が助け合って皆で守る共生の理念を持ち、そこに共感した仲間が増え、今に至る。限界集落にある1軒1軒は小さいが、そこに宿があるからこそ温泉文化、山岳文化が守られる。そんな宿の集団である」

 ――親会、他の部会と共に歩む意味とは。

 「確実に分かるのは、間口が広がったということ。ホームページなど、違う間口から自分たちをアピールできるほか、他の会の強みや多くある成功例を知るなど情報交換もできる。また、Z世代など若い世代が今後台頭する中、親会ではウェブを使い発信、販売を強化している。今後、生き残る手段として、有効だ。秘湯の魅力を伝える手段としても、連携を最大限生かす」

 ――秘湯の宿の今後に向けて。

 「仲間の宿のために何ができるか。そして温泉文化を守るため人材を育成し、後世につなげること。実現にはITなど技術を取り入れ生かすことも必要だろう。だが、根底はそれらに流されてはいけないということ。共生の理念を確認し、各地の温泉文化を守っていく」

 ――今後を担う人へ。

 「若い人からは、これからどうなるんだと言われるが、われわれはその時その時の時代の潮流に乗った趣向性を取り入れたりする大手とは反対を行く。変えてはいけないものを若い人たちに理解してもらい継承していくためには、新しい物事に挑戦していく会としての姿勢を大切にしたい。その中でどう変わらずにいられるかが大事。共生の理念を持ち、愚直に変わらなかったからこそ会は48年続いている。売り上げのための組織でない魅力がそこにある」

 ――読者に一言。

 「世界遺産の無形文化遺産に日本の温泉文化の登録を目指す動きがあるが、われわれも協力する立場にある。だが、地熱開発の問題にも重なるが、金を使って温泉をただ大規模掘削し、掘って出せばいいという考え方で温泉に向かってほしくない。各地には温泉を守る人が確実に存在する。『大事にする』気持ちで、温泉に向き合ってほしい」

 

日本秘湯を守る会 会長(新潟・自在館)星 雅彦氏

 

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