日本旅館国際女将会、人手不足対策を議論


講演する井門氏

 日本旅館国際女将会(長坂雅惠会長=下呂温泉しょうげつ)は12月14日、12月定例会を東京大学駒場地区キャンパス内のフレンチレストラン「ルヴェソンベール駒場」で開催。34人が出席した。

 今回のテーマは「旅館の人手不足対策」。井門観光研究所社長で高崎経済大学准教授の井門隆夫氏が「旅館の人手不足問題の傾向と対策」を、宿泊施設活性化機構事務局長の伊藤泰斗氏が「労働人口推移と人口減少の影響、機械化・自動化・AI化」をそれぞれ講演。観光経済新聞社編集部次長の長木利通氏は「観光経済新聞社の人材紹介事業と外国人労働者の雇用手法」として、新事業の内容などを紹介した。

 井門氏は地方旅館の現状を、(1)人手不足(地域一体となった取り組みが必要)(2)資本不足(投資性資金を含む金融の支援が必要)(3)需要不足(地域で連携した新しい需要創造が必要)―と指摘。これらを解決し、客室稼働率、販売単価のアップにつなげる必要があると述べた。

 また、「生産年齢人口減少により、人手不足は永遠に続く」と強調。その上で「いかに労働生産性を高めるかが重要」とし、(1)働き方改革(無限定正社員からジョブ型へ)(2)ICTの活用(脱・代理店、OTA)(3)業態の拡大、転換(交流から関係人口へ)(4)地域連携―の4種類の手法を挙げ、具体例も紹介した。

 伊藤氏は「『代わりの従業員などいくらでもいる』という時代は去り、『あなたが辞めたら絶対に補充できない』という時代になったという現実を直視、認識する必要がある」と指摘。従業員は減る一方という前提で考え、現従業員には少しでも長く残ってもらわなければならないと述べた。

 また「宿泊業、飲食サービス業の離職率は28%と全業種中で首位であり、これは働きやすい職場、働きやすい環境ではないことを示している」と強調。解決策として(1)給与水準と勤務体系の向上(2)自動化、AI化、ロボット化―を挙げた。「解決できなければ、人手不足倒産もあり得る」として、(2)については、さまざまな実例を紹介し、導入に向けての検討を促した。

 
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