日本旅館協会は、会員施設の宿泊プランの直販を支援する事業「オープン・ウェブ」を刷新した。宿泊予約システムなどを提供するエス・ワイ・エス(東京都港区)と提携し、直予約システム「DRS」を活用する手法に移行した。予約エンジンの種類を問わず接続可能で、宿の公式宿泊プランをOTA(オンライン・トラベル・エージェント)を経由せずにメタサーチ(比較サイト)に掲載できる。直予約、直販の拡大、手数料の抑制につながるとして参加を呼びかけている。
オープン・ウェブは2012年4月に開始。施設が自社の予約エンジンに登録した公式宿泊プランを協会のサーバーを通じ、提携先のメタサーチなどに掲載する仕組み。約250軒が参加し、年間の販売額は約1億2千万円まで増加したが、この事業を刷新し、DRSを活用した取り組みに移行した。
オープン・ウェブでは予約エンジンが6種類に限られていたが、DRSでは、宿が使っているほとんどの予約エンジンが接続可能。協会でサーバーを持つ必要もなくなり、運営コストが大幅に下げられる。
宿にとっての最大の利点は、OTAを介さずに公式宿泊プランを有力な複数のメタサーチに掲載でき、自社直販を拡大できること。掲載可能なメタサーチは、トラベルコ、旅プロ、ホテルジェイピー、トラベルジェイピー、フォートラベル、トリップアドバイザー、スカイスキャナー、カヤック、グーグルなど11サイト。さらに大手メタサーチが追加される予定。
もう一つの利点が、DRSを通じて公式宿泊プランを販売した場合、宿が支払う手数料率は5%からと低率であること。国内外のOTAに比べて低い手数料率で販売できる。初期費用や利用料はかからず、販売した分の手数料しか負担は生じない。自社予約エンジンに登録しているプランを使うので、新たな登録作業や空室管理の手間もかからない。
日本旅館協会は、4、5月に開催される各支部連合会の総会などでDRSへの参加を会員施設に呼びかける。参加や説明を希望する旅館には、協会が申込書などを用意している。