日本旅行協定旅館ホテル連盟(日旅連、根津文博会長=北海道・御園ホテル)は17日、東京のホテルメトロポリタンエドモントで第3回日旅連塾を開いた。日旅連本部の営業推進委員、支部連合会の若手経営者ら約80人が受講。丸尾和明・日本旅行社長をはじめ、旅館・ホテルの経営戦略などの専門家らが講演を行い、参加者らは旅館経営などについて見識を深めた。
同塾は日旅連の組織価値の向上と、次代を担う会員の誇りと情熱の醸成を目的に、日旅連の本部事業の一環として開催しているもの。日旅連活動の中核をなす営業推進委員会の委員や、若手会員を対象に09年度から開講している。
今回は「日本旅行と共に、明日の日旅連の飛躍に向けこの難局を切り開く」をテーマに掲げ、実施した。
第1部では丸尾社長が「旅館経営を考える」をテーマに講演。社会人になったばかりの時代から今までに学んだ言葉や考え方を紹介した上で、時折ジョークを織り交ぜながら経営論、リピーターを増やすための価値観、リーダーシップ論について解説。このうちリーダーシップ論の部分では日ごろから言及している「ウサギの耳、トンボの目、アリの足」の言葉を紹介し、情報への敏感さ、複眼的な視点、現場主義の重要性を説いた。さらに3・11後のパラダイムシフトの中では、自らの価値を見直し顧客ニーズに合致しているかを真摯に見直すことが重要であると指摘した。
このほか第2部では柳田剛一・ANA総合研究所主席研究員が地域活性化についての各地の取り組みについて、第3部では青木康弘・山田ビジネスコンサルティング事業企画部副部長が「旅館・ホテルを強くする 事業継続と経営計画のポイント」をテーマに、それぞれ講演した。
開講に当たり根津会長は「若い世代は近年、日々の旅館・ホテル業務に追われ、会社経営、地域経営を客観視したり、俯瞰的に見たりする機会が減っているように感じる。今日は地域経営、会社経営について学び、また皆でじっくりと話をして考えを広めてほしい」とあいさつ。
日旅連営業推進委員会の小林典行・代表委員(ホテル東山閣執行役員)は「『サプライヤー』である旅館・ホテルの持つ『供給責任』は、客室提供だけなのではない。事業継続の円滑な進行や災害対応も責務ではないか」と述べた。
講演する丸尾社長