日商、観光産業再活性化へ要望 観光“悪玉”論の払拭求める


東商と共に国交相に手交

 日本商工会議所は20日、「観光関連産業の再活性化に向けた要望」を赤羽一嘉国土交通相に提出した。Go Toトラベル事業が新型コロナウイルスの感染拡大を助長したという報道で「旅行・観光そのものが感染拡大の原因であるかのような風潮が広がっている」との認識を示し、「国にはデータの提示と共に、その払拭(ふっしょく)を求めたい」と強調した。

 国交相には、先に東京商工会議所がまとめた「コロナ禍からの復活に向けた、わが国の観光振興に関する重点要望」も提出。日商観光・インバウンド専門委員長の篠辺修委氏(ANAホールディングス特別顧問)と同共同委員長の酒井公夫氏(静岡鉄道会長)に加え、東商観光委員長の田川博己氏(JTB相談役)が出席した。

 日商は、コロナ禍で観光関連産業への消費支出は大きく減少しており、この状況が続けば「さらなる倒産・廃業の増加が懸念される」と指摘。その上で「観光関連産業はすそ野が広い業種であり、その縮小・消失は地域雇用にも多大な影響が及び、地域経済は疲弊の度を増すことが必至」として、四つの重点要望をまとめ、実現を求めた。

 具体的には、(1)飲食・宿泊等観光関連事業者の事業継続支援(2)段階的な観光支援の展開とGo Toトラベル事業の改善・延長(3)風潮払拭と「旅ごころ」への訴求(4)地域の魅力開発・情報発信支援、受け入れ態勢や危機管理の強化―。

 (1)では、政府の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響で売り上げが減少した中堅・中小企業への支援強化や、固定費負担を軽減するため、税や社会保険料の減免、雇用調整助成金の特例措置延長、国費による財源確保など「最大限の事業者支援の実施」を求めた。

 (2)では、旅行・観光は「健全な暮らしや社会に不可欠なもの」として、現在実施されている東北デスティネーションキャンペーン(DC)のような「旅ごころ」を喚起するキャンペーンが効果的に実施されるよう国による後押しを期待した。

 

 現状と課題

 観光関連産業、特に飲食サービス業、宿泊業、旅客運送業等は固定費負担が重く、売上減が利益減に直結する損益分岐点比率が高い業種である。コロナ禍において、観光関連産業への消費支出は大きく減少しており、こうした状況が続けば、さらなる倒産・廃業の増加が懸念される。観光関連産業は関係業種の裾野が広い業種であり、その縮小・消失は地域の雇用にも多大な影響が及び、地域経済は疲弊の度を増すことが必至である。

 以上の現状認識を踏まえ、観光関連産業の再活性化に向け、以下の通り要望を行うものである。

重点要望

◆破綻の危機に瀕する飲食・宿泊等観光関連事業者の事業継続支援が急務

・時短要請協力金の制度見直し、中堅・中小企業への支援金拡充等の支援強化

・既往債務の条件変更や追加融資、納税資金等の融資制度創設、納税猶予にかかる延滞税の免除等の支援

・税や社会保険料の減免および、雇用調整助成金の特例措置延長・国費による財源確保

・国民の消費活動の安心・安全確保のためのワクチン接種促進と医療提供体制の強化など

◆段階的な観光支援の展開とGo Toトラベル事業の改善・延長が必要

・感染状況を踏まえた、県境を越えた広域における観光支援策実施の検討

・Go Toトラベル事業再開にあたっての事業実施期限の延長、割引率・補助上限などの見直し、旅行・観光需要の平準化の観点からの制度の見直しなど

◆旅行観光が感染拡大要因との風潮払拭と「旅ごころ」への訴求が重要

・国による科学的なデータの提示と旅行・観光そのものが拡大原因であるかのような風潮の払拭

・「旅ごころ」を喚起するキャンペーンの効果的な実施に向けた国による後押しなど

◆地域の魅力開発・情報発信支援、受入れ態勢や危機管理の強化が必要

・来るべき観光需要回復期に向けた、各地における魅力開発力強化やコンテンツの付加価値向上、発信力強化支援

・交通ネットワークの整備・拡充、地域内の受入れ態勢整備支援、国を挙げた観光危機管理対策など

 
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