旅館甲子園、長野のさかえやがグランプリ


グランプリ発表直後に喜びを爆発させる「春蘭の宿 さかえや」の湯本晴彦社長(前列左から3人目)と従業員ら

グランプリ発表直後に喜びを爆発させる「春蘭の宿 さかえや」の湯本晴彦社長(前列左から3人目)と従業員ら

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)青年部(山口敦史部長=山形県・ほほえみの宿滝の湯)が主催する「第2回旅館甲子園」決勝大会が18日、東京・有明の東京ビッグサイトで開かれ、不登校の若者らの就労支援の取り組みを行っている長野県山ノ内町の渋温泉「春蘭の宿 さかえや」がグランプリを獲得した。

 旅館甲子園は「旅館で働くスタッフの夢が、笑顔が、日本を元気にする。」を合言葉に2013年2月20日に第1回が開かれ、今回2年ぶりの開催となった。主に旅館で働く若手従業員が、仕事の魅力や日々の自分の思いを観客に向かって発表する。

 全国の青年部組合員1600施設から出場者を募集。各都道府県部長の推薦を受けた25施設のうち、実行委員会による一次審査、審査員による書類審査を通過した5施設が、この日の決勝大会に臨んだ。グランプリは、決勝審査員の審査と書類審査、会場の投票で決まる。

 出場したのは、抽選による出場順に「山景の宿 流辿」(宮城県川崎町・青根温泉)、「土佐御苑」(高知市)、「ホテル松本楼」(群馬県伊香保町・伊香保温泉)、「峡谷の湯宿 大歩危峡まんなか」(徳島県三好市・大歩危祖谷温泉郷)とさかえや。

 流辿は、一人一人が経営者の視点で、地域社会に貢献するとともに、社員のやりがいや顧客満足につながる取り組みを紹介。

 土佐御苑は、郷土のユニークな踊り「うげうげ踊り」を従業員が自主的に宴会で披露することで、宿泊客へのおもてなしとともに郷土愛向上と伝統文化継承を重視していることを発表した。

 ホテル松本楼は、バリアフリーの貸し切り風呂設置や板前が作る離乳食など「ユニバーサルツーリズム」に早くから取り組んだことを強調した。

 大歩危峡まんなかは、従業員をニックネームで掲載するウェブページを作成したり6組の親子が働いていたりするなど、素朴で温かい雰囲気を披露した。

 グランプリに決まったさかえやは、不登校などで挫折を経験した若者の魅力を引き出し、宿泊客に感謝の手紙を送るといった素朴なおもてなしが評価された。

 佐藤信幸審査委員長(全旅連会長)は「感動、感動、感動…。旅館の将来は明るい。(今回発表の)大きな感動と経営方針は私も勉強になった」と講評した。

 さかえやの湯本晴彦社長は閉会後、観光経済新聞の取材に対し、「感無量だ。これもスタッフのおかけ。舞台裏は涙涙で言葉がない。全てを出し切った」と喜びを露わにした。さらに、旅館として初めて、高卒資格を取得できるフリースクールを従業員だけではなく近隣の若者も対象に4月に開くことを明らかにした上で「(発表で)言った以上は誰でも輝ける世の中を作っていきたい」と述べ、今後も就労支援や人材育成の分野で社会貢献していくと強調した。

グランプリ発表直後に喜びを爆発させる「春蘭の宿 さかえや」の湯本晴彦社長(前列左から3人目)と従業員ら
グランプリ発表直後に喜びを爆発させる「春蘭の宿 さかえや」の湯本晴彦社長(前列左から3人目)と従業員ら
 
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