旅館業、経費削減へ知恵、悩みは社員への意識徹底 本社調査


 観光経済新聞社はこのほど、全国の主な旅館を対象に「経費削減」に関するアンケート調査を行った。それによると、回答した旅館のほとんどが経費の増加を実感しており、節電や仕入れの見直しなどの経費削減策を行っている。経費削減を行う上での悩みは、社員への意識徹底や、顧客サービスとの兼ね合いを指摘する声が多い。

 「経費増加を感じていますか」の問いでは、回答旅館の全てが何らかの形で「感じている」と答えた。

 その要因として「消費税が大きいと思う」「消費税増税により仕入れ値が上がっている」と、4月からの消費税増税を挙げる声が多い。また「電気料金値上げ、重油、ガス(LPG)単価の値上げ」「燃料費アップ(ガス、電気、油)」「光熱費(電気、ガス、重油)の値上がりの影響が大きい」と、電気をはじめとした光熱費の上昇を指摘する声も多い。

 一方で、「消費税とか電気料金等の値上げの要因はあるが、それより売り上げ減による経費の割合の増加が気になる」という回答もあった。

 「自館の『経費削減策』について、内容を教えてください」では「電気をこまめに消す」「節電(事務所内)」「照明の間引き、可能な限り電球をLED化している」と、照明を中心とした節電を挙げる声が多い。

 節電については「冷房と送風の使い分け」「客室冷蔵庫の省エネタイプへの切り換え」「デマンドコントローラーを入れてピークカットで(契約電力を低くする)」「各セクションのリーダーを集め、マニュアルを渡し、全員が実行できるようにしている」などもあった。

 仕入れについては「相見積もりでもう一度仕入れ値を確認」「消耗品など安い場所でのまとめ買い」「取引先との価格交渉(清掃、保守、駐車場、レンタル、クリーニング等)」、人件費については「人員の配備やシフトの見直し」「残業の徹底管理」などを挙げている。

 三重県鳥羽市の戸田家は「フロントの館内集中スイッチのインデックスに色を付けることによって、時間等をみて消灯するように管理。ロビーのダウンライト照明等も、時間帯により間引き消灯を行っている。空調温度管理は各部署責任範囲を設けて管理。水に関しては厨房等、使用量の多い所には、水道1分○円とかラップ○円等々の表示を行っている」と、コスト管理を徹底している。

 これら経費削減策による効果はさまざまだ。「電気使用量が減少している」「固定費の低減ができた」「電気料金増の幅を若干下げたかも」と効果を指摘する一方、「あまり効果は出ていない」「まだ具体的な効果は見えない。削減策の追加や見直し、および継続が必要と思う」「思ったように効果が出ていない(計画の50%程度)。それ以上に電気料金値上げが大きかった」とする声もあった。「完全とは言えないが、社員の意識は高まっている」「少々落ちるが、油断するとすぐ戻る(電気使用量)」「賞与アップ(になった)」などの回答もあった。

 「『経費削減策』を行う(考える)上での悩み事」は、「徹底させて確認するところが長く続かない」「個人の意識改革」「社員への省エネ、節約意識の徹底」など、自館の経営方針を社員に徹底させることの難しさを多くの回答者が指摘している。また「サービス品質を落とさないで削減できるか」「旅館というサービス業であるため、部署により差が出てしまう(お客さま中心の所は無駄も出る)」「サービス業なので節電ばかり考えてお客さまに不便をかけるのではないかと考える」と、顧客サービスの低下を危惧する声も多く聞かれた。

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒