旅館協会会長に湯元舘の針谷氏


抱負を述べる針谷新会長

抱負を述べる針谷新会長

 日本旅館協会の2014年度通常総会が6月26日、東京都千代田区の帝国ホテルで開かれた。議事では、監事の会計・業務監査が終了しなかったとして、13年度の事業・決算報告が上程されず、審議できない異例の事態となった。役員改選では、任期満了に伴い近兼孝休会長が退任し、新会長に針谷了氏(湯元舘、滋賀県・おごと温泉)が選出された。針谷会長は、協会運営の正常化に取り組み、会員にとって有益な事業の推進に注力する考えを示した。

 日本旅館協会は、日本観光旅館連盟(日観連)と国際観光旅館連盟(国観連)が合併して12年10月に発足。今期で3年度目を迎えた。

 会計・業務監査については、4人の監事のうち和田正隆氏(弁護士)と金子輝男氏(公認会計士)が発言した。和田氏は「事業・決算報告を受けたのが6月11日。法律では4週間の余裕がないといけない。時間が足りず、監査未了との意見を出した」。金子氏は「4日間にわたって会計帳簿はチェックした。他の監事は時間がないということで、監査報告は出さないことになった」と説明した。

 監査未了に伴い事業・決算報告の上程見送りを総会前の理事会で決定。執行部からは、監査未了以外に説明はなかった。近兼会長は「合併から2年足らず。不徳のいたすところ」と釈明。冒頭のあいさつで近兼会長は、具体的な案件は挙げなかったが、「正副会長会、理事会で決定していないこともある。同じ旅館業、同じ仲間。必ずや解決し、前に進んでいくべき」と述べていた。

 事業・決算報告については、書面で決議を得る「書面総会」などの形で後日承認を受ける方針を総会前の理事会で決めた。会員1人が今総会で審議できない事態に疑問の声を挙げたが、それ以上の質疑はなく、了承された。今後の対応は新執行部に引き継がれる。

 役員改選では会長らを選出した。協会設立以降の会長職は、12年度を佐藤義正氏、13年度を近兼氏として合併前の両団体の会長が交互に務める取り決めだったため、総会で会長を選出するのは実質的に初めて。

 会長は総会で選任された理事の中から理事会で選出。新理事による総会への報告によると、会長職に2人が立候補したため、投票を実施して選出した。投票結果は、針谷氏が33票、中村一氏(滝元館遊季の里、岐阜県)が21票だった。

 選出された針谷会長はあいさつに立ち、「私の使命は三つある。一つ目は協会の正常化。大変な問題だが、必ずやり遂げたい。二つ目は会員のための事業推進。三つ目は、観光立国に貢献する団体にしていくこと。同時並行的にスピード感を持ってこの三つに取り組みたい」と抱負を述べた。

 14年度の事業計画案、予算案は、決算報告などが未承認のため、予算の繰越金を除いて承認した。本部役員の選任規定も改正し、正副会長職に70歳定年制を導入したほか、1期2年の役員任期について、会長の再任は1回限りとすることなどを決めた。

 また、役員改選では、本部の事務を担当してきた中村義宗専務理事、小関政男常務理事は理事に再任されなかった。

 総会後の懇親会では、新旧会長がそろって檀上に上がり、針谷会長が、近兼前会長の労をねぎらった。来賓として騠木毅・国土交通副大臣、高市早苗・自民党政調会長、赤沢亮正・自民党国土交通部会長らが駆け付けたほか、観光庁や観光団体の幹部らが出席した。

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