帝国データバンクが3日に公表した景気動向調査の7月分で、旅館・ホテルの景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は前月比3.0ポイント減の30.3と、5カ月ぶりに悪化した。3カ月連続で51業種別の最下位は免れたものの、ワースト3位と依然低迷している。感染の第7波で個人向けサービス全般が低迷。全国旅行支援の延期も響いた形だ。
全業種計は前月比0.1ポイント減の41.3と、旅館・ホテルと同様5カ月ぶりに悪化した。10の業界別では、旅館・ホテルを含めたサービスなど4業界が悪化。運輸・倉庫など6業界が改善した。
サービスは1.5ポイント減の44.4と、5カ月ぶりに悪化。旅館・ホテルのほか、飲食店が4.0ポイント減の34.0、娯楽サービスが0.9ポイント減の40.7と、ともに5カ月ぶりに悪化した。
小売は1.0ポイント減の35.7と、5カ月ぶりに悪化。
運輸・倉庫は0.7ポイント増の37.8と、2カ月ぶりに改善した。
51の業種別では出版・印刷が29.1と最も低く、繊維・繊維製品・服飾品卸売(29.9)、旅館・ホテル、自動車・同部品小売(32.4)が続く。
調査は全国の企業2万5723社に行い、1万1503社から有効回答を得た。企業の主な回答は次の通り。
「期待されていた全国旅行支援が延期になり、夏旅は期待薄。どん底だった2020年、2021年よりはましだが。採算分岐には遠く及ばない」(現在、悪い、旅館)。
「第7波ともいわれる感染拡大の影響から、観光客の動きが悪い」(現在、悪い、飲食店)。
「新型コロナウイルスの影響もあるが、高齢化により人材不足が続いている」(現在、悪い、一般乗用旅客自動車運送)。
「新型コロナウイルスの影響と石油価格の高騰で、ダブルパンチの影響がでている」(現在、悪い、ガソリンスタンド)。
「新型コロナウイルス以降、初めて海外出張の取り扱いがあったり、新規団体旅行の申し込みも入るようになってきている」(現在、良い、旅行業代理店)。
「コロナ融資の返済がそろそろ始まる。返済できずに倒産する同業者や得意先が出てくる」(先行き、悪い、婦人・子供服卸売)。
「BA5オミクロン株の感染者数が急激に増加する中、若干名感染によって乗務できない乗務員も出てきている」(先行き、悪い、一般乗用旅客自動車運送)。
「海外旅行需要の復活」(先行き、良い、クレジットカード)。
「空港検疫の簡略化が進んで、海外の一般の旅行者の出入国がスムーズになり、旅行需要の回復の見通しが明確になる」(先行き、良い、旅館)。
「海外旅行が再開し、徐々に売り上げが回復すると想定している」(先行き、良い、一般旅行)。