旅館・ホテルの固定資産税、経過年数45年に短縮 与党税制改正大綱


 自民、公明両党が12月12日に決定した2014年度の与党税制改正大綱で、旅館・ホテルの建物にかかる固定資産税について評価基準の見直しの内容が明らかになった。対象は「鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造」の建物で、最も低い税額に到達するまでの期間を示す経過年数を「50年」から「45年」に短縮。経過年数の短縮により建築後に税が年々減額されるペースが速まり、負担の軽減につながる。2015年度の納付分から適用される。

 固定資産税は市町村税。総務相が定めた評価基準に基づいて建物の評価額が算出され、税額が決まる。政府が決定し税制改正となると、総務省が評価基準の告示を改正。固定資産税は、毎年1月1日時点の評価から税額が決まるため、改正内容は15年1月1日時点の評価から反映され、15年度の納付分から適用される。

 評価の基準となる経過年数は、建物の用途によって類型別に定められている。旅館・ホテルは「百貨店、劇場、娯楽場」と同じ類型だが、改正により単独の類型になる。他の類型を含めて今回、見直しとなる対象は旅館・ホテルだけ。「一つの類型だけを改正するのは数十年ぶり」(観光庁観光産業課)という。

 経過年数が45年となったことについて、総務省との協議に当たってきた同課は、「旅館・ホテルへの実態調査の結果や、他の類型とのバランスを考慮し、5年間の短縮が決まった」と説明した。

 旅館・ホテルの経過年数の短縮による固定資産税の減収は、観光庁の試算によると、固定資産税で約49億円、固定資産評価が関係する都市計画税で約7億円。合わせて56億円の減収が見込まれている。

 固定資産税に関しては、旅館・ホテル業界から「建物の評価額がなかなか下がらず、税の負担が重い」「改装、改築を頻繁に行う使用実態からして経過年数が長過ぎる」などの指摘が出ていた。見直しに向けて宿泊業団体などが要望活動を展開。政府が11年度の税制改正で「検討事項」に盛り込んで以降、調整が続けられていた。

耐震改修に 特例措置も
 与党の税政改正大綱には、改正耐震改修促進法に基づき耐震診断が義務付けられる商業施設などの建築物を対象とした特例措置の創設も盛り込まれた。旅館・ホテルも該当する。

 法人税、所得税では、耐震診断結果を報告後の5年間、耐震改修の建築部分について取得価額の25%の特別償却ができる。固定資産税では、14年4月から17年3月までに国の補助を受けて改修した場合、工事完了年の翌年度から2年間、上限に制約はあるが、税額を2分の1にする。

 
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