旅館の8割が「人手不足」、本紙アンケート調査で判明


 観光経済新聞社はこのほど、全国の主な旅館約100軒を対象に、「人手不足」に関するアンケート調査を行った。調査では、回答者の8割強が何らかの形で人手不足を感じていると回答。人手不足への対応策は社員の多能化、従業者を集めるための取り組みはハローワークや求人広告のほか、学校訪問、従業員の待遇改善などを挙げる声があった。業界が取り組むべきこととして、宿泊業に対するイメージアップ、生産性の向上などを挙げている。

 「自館で人手不足を感じていますか」
 「感じている」「大いに感じている」「部門によっては強く感じている」など、何らかの形で感じていると回答した旅館が8割強あった。

 半面、「人材を選ばなければ感じない」とする旅館もあった。

 「人手不足への対応策は」
 繁忙部門への社員の応援体制の構築や社員の多能化、派遣会社への人員の依頼、給料のベースアップなどを挙げる旅館が多い。主な回答は次の通り。

 「シフトの見直しおよび他セクションのヘルプ体制での対応」「業務の効率化」「社員の多能化」「原則として他部署からのヘルプを基本にしている」「繁忙部門への他部門からの応援体制」「自部署、担当の仕事にこだわらず、個人でいくつかの仕事ができるようにしている」「派遣会社への対応(一時的な人員投下)」「短時間パートの活用」「派遣社員での充当や、正社員、アルバイト・パート社員の時間延長」「インターンシップ受け入れ」「2015年11月支給より女子接客係(アスティー)のベースアップ」「給与、労働時間等の改善を進めて採用増を目指している」

 「従業者を集めるために取り組んでいることは」
 ハローワークや求人広告の活用を中心に、学校への訪問、外国人の採用などさまざまな取り組みが行われている。また従業員への待遇改善を指摘する声もあった。

 「ハローワークに求人依頼」「分かりやすくイメージのしやすい求人広告、求人画面の作成」「都市部への求人折り込み広告」「パート、アルバイトは従業員による紹介運動の展開」「正社員出身校へのOB活動」「専門学校、大学へのインターン制提案」「大学、短大等への合同説明会などの参加」「外国人労働者の採用」「福利厚生制度の充実」「60歳以上の雇用延長」「全館休業日の増加、休日の増加、ダイバーシティ経営。地味だがこういったことにより最終的に人が集まる環境になるのではないかと思う」

 「人手不足を解消するために、業界が取り組むべきことは」
 宿泊業に対するイメージの向上、生産性向上への取り組み、外国人労働者を受け入れるための法的整備、従業員の待遇改善などを指摘する声が多かった。

 「宿泊業に対するイメージ改善、働き手にフィーチャーしたPR活動など」「日本の文化でもある旅館の素晴らしさを高校、大学で協同で生徒へ伝えていく」「当業界就労者の地位向上」「メディアを使い、業界をアピールする」「サービス業が魅力ある、将来性のある職業であることの周知徹底。日本で最大の成長産業であることの周知徹底」「給与の改善と労働時間の削減の2点。そのためには生産性を大幅に向上させなくてはいけない。さらなる高単価化と労働生産性向上によるコストダウンを並行して進める」「現在あちらこちらで言われているサービス産業の生産性向上について指針を与えていただければと思う」「外国人労働者の法的整備」「業界がどこまでかかわれるのか不明だが、単体では取り組めない外国人技能実習生の受け入れ機関として考えていただけるとうれしい」「従業員の安定雇用のための福利厚生(特に住居部門)」「町や市などの行政もしくはいくつかの施設合同で託児所を運営」

 「その他、人手・人材に関して訴えたいことなど」
 主な意見は次の通り。

 「今後の日本人労働者数の減少は確実なので、外国人労働力を活用できる法の整備などが必要」「業界の求人市場の拡大、拡充」「国政および県が地方創生を掲げているので、地域に人材が根付くような助成金等の交付」「オリンピック、パラリンピックまでは人手が充足するとは思えない。息の長い対応が必要になると思うので、付け焼刃の対応で逃げ切ろうなどと思わぬことだと思う」「離職率と離職内容の分析をして、できる限り改善」「大学生のリクルートの時期を戻してほしい」「旅館ホテルの宿泊単価のアップ。毎年必ず実行できる環境を業界でつくる。収入が多ければ良い人材が必ず集まる」

 
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