旅館など生活衛生業種の景況感に陰り


 国民生活金融公庫の生活衛生関係営業の景気動向等調査(今年1〜3月期)によると、旅館など生活衛生関係業種の業況DI(「よい」とする企業割合から「悪い」とする企業割合を引いた値)はマイナス45.6で、前の期に比べ21.4ポイント低下した。ホテル・旅館単独のDIも前期から大幅に低下。同公庫では「生活衛生関係営業の景況にはかげりがみられる」としている。

 調査は2月上旬、ホテル・旅館、飲食業、理容業など生活衛生関連営業3220企業に個別訪問面接調査方式で実施した。このうちホテル・旅館業は255企業に聞いた。

 業況DIは昨年7〜9月期から3期連続の低下となった。例年1〜3月期は低下するが、今期は特に低下幅が大きくなっている。前年同期に対しては13.5ポイントの低下となった。ただ、来期(今年4〜6月期)は今期から27.0ポイントの大幅な上昇でマイナス18.6になる見通し。

 売上DIは前期から5.5ポイント低下してマイナス36.3になった。5年ぶりに3期連続の低下となったが、低下幅は前期に比べ縮小した。来期は今期比17.9ポイント上昇のマイナス18.4になる見通し。採算DIは前期から7.6ポイント低下のマイナス17.7。前年同期比では5.7ポイント低下した。

 ホテル・旅館業をみると、業況DIは前期から30ポイント以上低下してマイナス43.9になった。昨年7〜9月期はプラス値を記録したが、これで2期連続で低下し、マイナス値にとどまった。ただ、来期は今期から30ポイント以上上昇する見通し。売上DIはマイナス27.6で、前期から約10ポイントの低下。採算DIはマイナス17.3で、前期から約15ポイント落ち込んだ。

 ホテル・旅館の特徴的な業況判断理由は次の通り。

◎今季・好調
「NHKの大河ドラマ『篤姫』の放映開始の影響で、鹿児島県への関心が高まり、宿泊客の入り込み数が増えている。また、九州新幹線の開通により、ビジネスマンの宿泊客も順調に増えている」(鹿児島県)。

◎今期・悪化
「温泉地の老舗旅館では、ここ数年来宿泊客の少人数化から団体客用の多数の大部屋の稼働率が低下している。また、経営の行き詰まりから経営権が再生スポンサーへ移行した大型ホテル・旅館が、低料金で宿泊客を集めているため、地域内に宿泊料金の低下が波及し、採算が悪化するホテル・旅館が増えている」(栃木県)。

◎来期・好転
春は観光客や行楽客が増えるが、近年は大仏殿や興福寺などの歴史的建造物に桜の花が色添える風景に魅せられた絵画や写真撮影グループが増えつつある。最近の特徴としては、インターネットによる宿泊予約が増えていることである。来期は春の観光シーズン真っ盛りであり、大いに期待している」(奈良県)。

◎来期・不変
宮崎市内の中心市街地に数件のホテル建設が計画されており、この工事関係者が5月予約が入るものと期待している。しかし、一般の宿泊客は、年々減少しているので現状維持が精一杯である」(宮崎県)。

◎来期・悪化
灯油等燃料費の高騰が続くと思われ、今後も採算に大きな影響を与えるのではと不安である。宿泊価格に転嫁したいが、予約が減る可能性を考慮すると、宿泊価格を上げることは難しい。来期もこの状態が続けば経営は厳しい」(秋田県)。

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒