新春トップインタビュー 日本ホテル社長 里見雅行氏

  • 2022年1月12日

里見社長

地域と連携しさまざまな事業 初の海外進出「プレミア台北」

 ――21年はどんな年だったか。コロナ禍への対応、東京五輪対応などについて伺いたい。
 
 お客さまに、安全で、安心してご利用いただけるように、感染対策には徹底的に注力した。ただ、東京を拠点にホテル展開をしているため、コロナ禍のダメージは大きかった。インバウンドや東京観光の宿泊客はほぼゼロに、東京出張のビジネス客も激減した。レストランは当初、夜だけでなく昼の売り上げも多く消失し、宴会もなくなってしまった。全ての部門で売り上げが激減するという状況に追い込まれた。

 そういった状況の中でも、安全安心にお過ごしいただける空間をご提供するというホテルの社会的役割を果たすため、ご予約をいただいている限り営業を続けてきた。新規ホテルについても、既にご予約をいただいていたため、延期することなく予定通りに開業した。1都3県の方々には、新規のお客さまにもかなりご利用いただくことができた。特に、20年のGo Toトラベル実施期間中は、多くの若いお客さまに東京ステーションホテルにもお泊まりいただいた。Go Toトラベルには、新しい顧客層と出会える効果もあると実感した。

 東京五輪がコロナ禍からの回復の大きなきっかけとならず、無観客開催が決まって、大量の宿泊キャンセルが出た。ただ、東京五輪組織委員会と契約した部屋については、大会関係者を中心にほぼ予定通りご利用いただけた。海外のスポーツ関係者、選手村に入る前の選手団などのご宿泊もあった。海外関係者と一般のお客さまは導線を分けるなどの配慮をして、感染対策を徹底した。

 仕事のやり方の見直しも進めた。社員のマルチタスク化を推進。宿泊スタッフがベッドメイキング、清掃もできるようになったほか、レストラン、宴会などの垣根を越えて業務が柔軟になった。さまざまな教材を使った教育も積極的に行った。

 池袋のホテルメトロポリタンでは、数年内に予定していた大規模配管修繕工事を前倒しで実施した。宿泊予約が少なかったため、休館も売り止めもせずに工事を完了した。

 雇用を維持する大前提のもとに、社員に休んでもらって雇用調整助成金の支給を受けた。

 ――このコロナ禍を経て総合シティホテルは今後どのように変化していくと思うか。宿泊産業もDX化は避けられない。非接触・IT化の推進とヒューマンホスピタリティサービスの維持、提供は相反しかねない課題だ。

 お客さまから何を期待されているのかに尽きる。例えば、ホテル内でゆっくり過ごせる、チェックイン、チェックアウトの時間を柔軟にしたプランがご利用を増やしているが、これは今後も続くだろう。

 ホテルスタッフは、しっかりとしたおもてなしの重要な役割を認識して努力している。

 日本ホテル・JR東日本ホテルズは、ラグジュアリーホテルの東京ステーションホテルとメズム東京オートグラフコレクション、シティホテルのホテルメトロポリタン、宿泊特化型ホテルのJR東日本ホテルメッツといった各カテゴリーのホテルを運営している。宿泊特化型ホテルを中心に、自動チェックイン機も積極的に導入している。

 これは、業務効率化もあるが、お客さまにとって便利なためという理由が大きい。スタッフは手続きのためにいるわけではない。おもてなしをするというヒューマンの役割はこれからも非常に大切だ。

 一方で、主に宿泊特化型などで、お客さまが効率的な手続きを望まれるホテルについては、積極的にDX展開を進めていく。スマホを使ったキーレス化や客室内でのチェクアウトなどは既に一部のホテルで導入済みだ。今後は、無人でもご満足いただける仕組みも十分可能だ。

 ――「ホテルメトロポリタンプレミア台北」を8月に開業した。JR東日本ホテルグループとしては最初の海外進出だ。

 ホテルチェーンの展開は国内だけでは限界が出てくる。また「ホテルメトロポリタン」の名前を海外のお客さまに知っていただくためにも、海外拠点は必要だと考え出店した。5つ星のラグジュアリーホテルで、「プレミア」を付けることで、通常のメトロポリタンよりワンランク上に位置付けた。

 メトロポリタンは地域の中で役割を果たすホテルであり、ブランドプロポジション(ブランド定義)は「人・食・街・そして文化と触れ合い、未知なる息吹を体感することで、気持ちが華やぐホテル」。ホテルメトロポリタンプレミア台北も台北の中で常に地域と関わりながら運営をしていく。

 ――総合(フルスペック)シティホテルの役割の一つである、地域の核、プラザ(広場)を海外においても目指されていることが分かった。「プレミア」ブランドを国内展開する計画は。

 まだその議論はしていないが、今後の可能性としてはあり得る。

 ――「メズム東京、オートグラフコレクション」は、マリオット・インターナショナルのフランチャイズとして「オートグラフコレクション」に加盟している。外資系ブランドとの提携は、今後も積極的に進めていくのか。

 どういうホテルにしたいかによって個別に判断することになると思う。しかし、マリオットの営業力には非常に期待している。

 ――今後のオンラインでの客室販売戦略は。

 JRホテルメンバーズの会員が約80万人いる。全国のJR系ホテルが会員ロイヤリティプログラムなどで連携しており、この直販比率が徐々に高まっている。国内外OTA経由での販売はもちろん重要だが、お客さまに適切にいろいろな販売チャネルを選んでいただいている。

 ――JR東日本という公共性の高い企業が母体のホテルグループとしての役割をどう意識しているか。

 JR東日本グループは、各地域の観光関係者、自治体の方々とのお付き合いが深い。連携しながらさまざまな事業を進めている。ホテルでも、例えば地域の食材や酒を積極的に紹介するなど、それを常に意識している。

 また、食品ロス削減や環境対策にも力を入れている。

 ホテルにとって最も重要なのは人の力、スタッフの総合力だ。当社は、複数のカテゴリーのホテルを運営しているので、社員には異動や出向、留学などでさまざまな経験をしてもらい、個々人のスキルアップを図っている。

(インタビュー実施日は21年11月9日)

 

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