文化庁は24日、地域の歴史的な文化や特色をテーマでまとめて魅力を発信する「日本遺産」として、新たに13道県の13件を認定したと発表した。同日、東京・丸の内の東京ステーションホテルで認定証交付式を行った。
日本遺産は東京五輪・パラリンピックが開催される2020年までに100件とする方針で、今回の認定で計67件となった。
交付式には歌舞伎役者の中村時蔵さんら4人の日本遺産大使が出席、認定された13件にエールを送るとともに、モデルの富永愛さんが各ストーリーを紹介した。
あいさつした宮田亮平文化庁長官は「発信の仕方を工夫し、世界に知られるよう環境作りに取り組んでほしい」と述べる一方、「全般的に硬い印象を受ける。一般の人が分かりやすいストーリーを」と今後の提案に期待した。
新たな日本遺産のうち、栃木県の那須塩原、矢板、大田原、那須の4市町による「明治貴族が描いた未来~那須野が原開拓浪漫譚~」は、明治政府の貴族階級が扇状地「那須野が原」の荒野を切り開き、広大な農場とした足跡を点在する旧別荘でたどることができる。
鬼退治の伝承に関係する史跡などで構成するのが「『桃太郎伝説』の生まれたまち おかやま~古代吉備の遺産が誘う鬼退治の物語~」で、岡山県の岡山、倉敷、総社、赤磐の4市が申請。
岡山には鬼ノ城と呼ばれる古代山城や巨大墓に立ち並ぶ巨石などの遺跡が現存。これら遺跡の特徴から吉備津彦命(きびつひこのみこと)が温羅(うら)と呼ばれた鬼を退治する伝説の舞台となった。
鬼関連では、大分県の豊後高田、国東両市による「鬼が仏になった里『くにさき』」がある。くにさきの鬼は人々に幸せを届けてくれ、鬼に祈る文化を体験できるストーリーになっている。
認定地域代表者らによる記念撮影