国の文化審議会はこのほど、富山県高岡市の吉久伝統的建造物群保存地区(伝建地区)など3カ所を、特に価値が高いとされる需要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)に選定するよう萩生田光一文部科学相に答申した。答申通り選定されると、重伝建地区は123カ所となる。
他の2カ所は、岡山県津山市の城西伝健地区と同矢掛町の矢掛宿伝建地区。
吉久伝建地区は吉久2丁目および3丁目各一部で、面積は約4.1ヘクタール。江戸時代には加賀藩の年貢米を収納する御蔵(おくら)が6棟あり、砺波・射水平野で収穫された米を伏木湊(みなと)から北前船で大阪や江戸に運ぶための備蓄流通拠点だった。
江戸後期に形成された地割や町家が残り、高岡の小矢部川河口部に栄えた在郷町の歴史的風致を伝えている点が評価され、保存が必要とされた。
城西伝建地区は津山市坪井町、上紺屋町などを含む面積約12ヘクタール。寺院が並ぶ風格ある寺町と近代の繁栄を示す商家の町並みが残る。
矢掛宿伝建地区は約11.5ヘクタール。山陽道の宿場町として栄え、街道沿いには江戸時代後期までに形成された地割に、妻入(つまいり)と平入(ひらいり)の町家が混在した変化のある屋並みがみられる。江戸時代の旧本陣と旧脇本陣が重文に指定され、そろって残るのは全国唯一。